清水ミチコさんの推薦書『爆弾犯の娘』
「何よりすごいのは作者の実話というところ」
												
						
																		
							 
						
「モノ」に囲まれて暮らす私たち。だからこそ、そばに置くモノのことはとっても気になります。清水ミチコさんの「モノ語り」。
清水さんが今気になっているモノ、お気に入りのモノについて綴ります。
国民の叔母 『爆弾犯の娘』を読む
昔から糸井重里さんに勝手にお世話になっている私。
人にアドバイスなどはしないお人柄なのですが、いつか世間話中、「シミズはどういうことをしたいんだ?」とサラッと。
「したいこと?」私は数秒考えましたが、「CDを作りたいです」と答えていました。すると翌年のある日、CDの出版話がきました。
きっと糸井さんがどなたかを紹介してくださったに違いない。早速お礼を言うと「え? オレ何にもしてないよ」とのこと。
もしかしたら自分の夢を自分の口で明確にしたのが、道が開いたきっかけなのかもしれませんが、人に聞かれでもしなければ自分の夢とはないに等しいかもです。
その十数年後、私に武道館のライブの話があり、腕まくりして「よーし! 絶対にお客さんを
喜ばせるぞ!」と、ミュージシャンや芸人たちで『国民の叔母、清水ミチコのババとロック』を開催することに。
それを糸井さんに言うと「でも、お客って案外一人だけを観たいもんだけどなー」とポツリ。ハッ、そうか!いろいろ入った豪華仕出し弁当より親子丼だけのほうが満足する時もあったわ! と、それ以来十年以上、ほぼ単独公演が続いています。
そんな糸井さんのXに「『爆弾犯の娘』という本がおもしろい」とあり、どれどれ…と読んでみたら、めっちゃハマりました。
思想家の犯行により、警察から捜査されている男の家族の話で、何よりすごいのは作者の実話という所ですが、スリリングな展開に夢中になります。
あまりに強い信念を持った人は周囲を束縛してしまうものですねえ。
一見カラッとしたブラックなエピソードの中には、犯罪者の家族の立場の辛さ、しんどさが迫ってきます。
思えば二次被害者となる、加害者のその家族の話は今まで読んだことがなかったかもしれません。かつ「正義って何なんだ、いつも人の見え方によって違っちゃううえ、すぐ争いのきっかけになる。本当は正義なんてありそうでないんじゃないか」とまで思わせられたりして。
ほんと世の中、自問自答じゃ答えが見つからないってことは多いですなあ。
今回の気になる物産「爆弾犯の娘」

実の父がその事件の犯人グループの一人だった著者が、父の逃亡期間、逮捕から出所するまで、そして現在に至るまでを描いたノンフィクション作品。
逃亡犯を持つ家族の日常が、悲壮感だけではやっていけないことをリアルに描いている。
著者は脚本家の梶原阿貴。父と同様、逃亡生活を続けた指名手配犯を描いた映画『「桐島です」』の脚本を担当し、話題になった。
『爆弾犯の娘』梶原阿貴 著
(ブックマン社)
清水ミチコ
岐阜県出身。1987 年のデビュー以降、テレビ・ラジオのほか、エッセイ執筆、CD制作、ライブと、幅広く活躍。YouTubeでは、「清水ミチコのシミチコチャンネル」を配信中。
11月より全国ツアー「清水ミチコのHAPPY PARADISE」開催決定。恒例の日本武道館公演は2026 年1月3日。ただいま先行予約受付中。詳しくは、公式サイト4325.netをチェック!
イラスト(ロゴ)/とみこはん 文・編集/鈴木香里
大人のおしゃれ手帖2025年10月号より抜粋
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