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大人のおしゃれ手帖 12月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2025年12月号

2025年11月7日(金)発売
特別価格:1640円(税込)
表紙の人:吉瀬美智子さん

2025年12月号

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【大人の京都旅】誕生から100年 暮らしに寄り添う美「民藝」をめぐる旅 作家たちの愛した甘味も♡

ふなつあさこ

「民藝誕生100年」展を観ていたら 祇園・鍵善良房のくずきりを食べたくなります

京都市京セラ美術館 特別展「民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美」12 黒田辰秋 左から、「朱漆三面鏡」(1934)、「朱漆宝結文円卓」(1936)〈ともに京都国立近代美術館〉

漆芸家・木工家である黒田辰秋(たつあき)さんも民藝運動を代表する美術家のひとり。左から、「朱漆三面鏡」(1931)、「朱漆透彫文円卓」(1928)。

京都市京セラ美術館 特別展「民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美」13 左から、書「くづきり」(1956頃)(字:河井寛次郎、額:黒田辰秋)、黒田辰秋「螺鈿菓子重箱」(1938)〈左〉河井寬次郎、額:黒田辰秋 書「くづきり」1956年ごろ 鍵善良房蔵、〈右〉黒田辰秋「螺鈿菓子重箱」1938年 鍵善良房蔵

左から、書「くづきり」は、字は河井寬次郎さん、額は黒田辰秋さんの手によるもの。右の素晴らしい黒田さんの「螺鈿菓子重箱」とともに祇園の和菓子屋・鍵善良房の所蔵品です。

京都市京セラ美術館 特別展「民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美」14 黒田辰秋「螺鈿くずきり容器」「岡持ち」(1932)黒田辰秋「螺鈿くずきり用器/岡持ち」1932年 鍵善良房蔵

こちらも黒田さんによる「螺鈿くずきり容器」「岡持ち」を見たら、もうダメだ。鍵善のくずきり食べたい。

ちなみに、民藝運動のメンバーには甘党が多かったそうです。色々なお菓子屋さんの看板やパッケージなどに彼らの作品が使われているのは、頼まれる以前に常連さんだったから、ということも多いようです。お近くにも、あるかも?

鍵善良房01

矢も盾もたまらず食べたい! と祇園の鍵善良房本店へ。

鍵善良房02 くずきり

真っ先に店内奥の喫茶室へ向かい、席に着くなり「くずきり、ください」。「蜜はどちらになさいますか?」そうです、黒蜜と白蜜から選べるのです。そして毎回悩むのです。コクのある黒蜜、さらりとした甘みの白蜜。どちらも美味です。キリッと氷で冷やされたちゅるちゅるのくずきりに、今回は黒蜜をたっぷり絡ませて無心でいただきました。

鍵善良房03 黒田辰秋「拭漆欅大飾棚」

喫茶室からお菓子の販売スペースへ。店内を入って右手には黒田辰秋さんの「拭漆欅大飾棚(ふきうるしけやきおおかざりだな)」(1934)が。今でも現役で使われ、実用の美としてのときを重ねています。

鍵善良房04 黒田辰秋「拭漆欅大飾棚」

向かい側にも同じく黒田さんによる「拭漆欅大飾棚」(1932)が。鍵善の十二代当主・今西善造さんが黒田さんの作品に惚れ込んで依頼し、1年をかけて製作されますが、その請求書を見てびっくり。家一軒分ほどの金額だったそうです。しかし、出入りの大工さんが価格相当の素晴らしい出来栄えだと請け合ったそう。

鍵善良房05「園の賑い」

老舗の看板商品のひとつ、季節のモチーフをかたどった干菓子をぎっしりと詰め合わせた「園の賑い」。黒田さんの作品がもたらす、ここにしかない空気のなかに並ぶお菓子は、特別なオーラをまとっています。

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この記事を書いた人

編集者 ふなつあさこ

編集者ふなつあさこ

生まれも育ちも東京ながら、幼少の頃より関西(とくに奈良)に憧れ、奈良女子大学に進学。卒業後、宝島社にて編集職に就き『LOVE! 京都』はじめ関西ブランドのムックなどを手がける。2022年、結婚を機に奈良へ“Nターン”。現在はフリーランスの編集者として奈良と東京を行き来しながら働きつつ、ほんのり梵妻業もこなす日々。

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Instagram:@asa_ship

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