【更年期の養生 Vol.1】更年期の不調は体内の温暖化現象。自然に寄り添った生活でやわらげて
体の中で静かに波打つ海を守るイメージで、更年期ケアを

更年期の不調の根本原因は腎陰虚の場合と、腎陽が不足する「腎陽虚(じんようきょ)」の場合とに大きく分かれますが、多くは腎陰虚タイプになります。腎陰虚が原因と考えられる不調には、主に次のようなものがあります。
・頭部や顔面の熱感と発汗
・めまい
・耳鳴り、聴力の低下
・肌の乾燥やかゆみ
・陰部の乾燥
・腰やひざがだるい
・不眠
・イライラ、怒りっぽい
こうした腎陰虚による更年期の不調をやわらげるにはまず、腎陰を消耗しない生活を送るようにしましょう。そのためには自然のリズムに合わせた生活を送ることが第一歩。できるだけ日の出に合わせて起床し、日没後は活動を控えめにし、夕食後は光量を落として静かな空間でゆったりとくつろいで早めに就寝しましょう。腎陰は日没以降に蓄えられ、特に睡眠中に補われます。夜の外出や活動は腎陰を消耗してしまうので、ほどほどに。夜ふかしは禁物です。ポイントは、できるだけ心身に負担をかけずに自然に寄り添って暮らすこと。“体内温暖化”もまた、地球温暖化対策と同様にエコな生活が効果的なのです。
そして、腎陰を補う食材をよくとることも習慣にしてみてください。黒豆、黒ごま、牡蠣、ほたて、ムール貝、白きくらげ、桑の実、くこの実などを積極的にとり入れるといいでしょう。
体の中に広がる海が、月の満ち欠けと呼応しながら静かに波打って生命力を育んでいる──その海を守るようなイメージで、更年期のケアをしてみてください。そして、その海の浄化力でつらさもリセット。更年期を新たなスタートとしていきましょう。
画像素材/PIXTA
この記事を書いた人
国際中医師・国際薬膳師・東洋医学ライターTSUBO
健康雑誌編集部員をへて独立し、以後、健康や美容に関する雑誌・書籍・WEBの企画・編集・執筆を数多く手掛ける。現在は主に東洋医学による予防医学や、東洋医学から見た自然と人体のつながりについて執筆活動中。
Twitter:@MomoOtsubo
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