【更年期の養生 Vol.4】「腟の乾燥」「性交痛」をやわらげる、デリケートゾーンと性生活の養生法
デリケートゾーン・性生活でのケアと腎を補う養生で、腟の潤いと弾力を守る

腟の乾燥や性交痛を防ぐための大前提として、バランスのいい食事をとる、しっかり睡眠をとる、過労やストレスを避けるなどの基本的な生活養生が重要です。加えて、次に紹介するデリケートゾーンのケアや性生活での注意点などもとり入れてみてください。
◉デリケートゾーンを洗いすぎない
デリケートゾーンの洗いすぎは腎陰を消耗し、腟の乾燥を招く原因となります。腟内部の粘膜部分はお湯だけで流って石けんは使わないようにし、大陰唇(女性器の一番外側にある左右のひだ)の外側などの周辺部も基本的にはお湯だけ、気になるときだけ弱酸性で無香料の石けんを少量使ってやさしく洗いましょう。ウォシュレットの使いすぎも腟の粘膜を傷つけ、乾燥を招くので注意してください。
◉尿もれシートや吸水ショーツは外出時のみに
ショーツの素材は、綿やシルクなどの保湿性がある肌にやさしいものを選ぶのがおすすめ。尿もれシートや吸水ショーツは化学繊維が使用されているものが多く、蒸れや摩擦によって腎陰を消耗しやすいため、外出時のみ着用して在宅時は綿やシルクのショーツに布ライナーを使うのがいいでしょう。乾燥が強い場合はワセリンやホホバオイルなどを外陰部に薄く塗ると、摩擦による刺激をやわらげることができます。
◉性生活で体に負担をかけすぎない
性生活で体に負担をかけることは、腎精の消耗に直結します。夜遅い時間の行為は控える、疲れている日や体が冷えている日は行為を避ける、乾燥が気になるときはデリケートゾーン用の潤滑剤を使用する、痛みがあるときはがまんせず無理にしない、腰や腹筋に負担のかかる行為は避ける、行為のあとは腰回りを温めて早めに寝るなどのケアが大切です。
◉脳の酷使を避ける
東洋医学では、腎と脳は「髄(ずい=骨髄、脊髄、脳髄など)」を通じてつながっており、髄は腎精から作られると考えられています。そのため、脳を酷使すると腎精の消耗につながることに。複数の作業を同時に行うマルチタスクや長時間のPC・スマホ作業、過剰な情報収集など、脳を酷使する作業はできるだけ控えるようにしてください。
◉腎陰、腎精を補う食材をよくとる
食事面では、腎陰を補う食材である白きくらげ(写真の食材)、やまいも、黒豆、黒ごま、牡蠣、ほたて、くこの実、腎精を補う食材である鶏肉、うなぎ、やまいも、黒ごま、くるみ、くこの実などをよくとるといいでしょう。特に白きくらげは潤いを補う力が高いのでおすすめ。あえものやスープの具などに手軽にとり入れられる食材です。なお、無理なダイエットや過度のファスティングは、腎精を消耗するので避けましょう。
◉「太渓(たいけい)」のツボ押しで腟の潤いをサポート
太谿は内くるぶしとアキレス腱の間のへこんだ部分にあるツボで、腎を補い、腎精を守る助けとなり、腟の潤いをサポートします。夜寝る前に太渓に親指を当て、吐く息に合わせてゆっくり指を沈め、吸いながら少しゆるめます。これを30秒間行い、2回繰り返しましょう。その後は指先でツボを30秒間ほぐして、最後にかかと方向へ3回押し流します。左右とも同様に。
腟は腎と直結した器官であり、腟をいたわることは“生命力の源”である腎をいたわることに直結します。更年期をいきいきと過ごすため、丁寧にケアをしていきたいですね。
※痛みが続く場合や、出血・強い違和感がある場合は、婦人科に相談してください。
画像素材/PIXTA
この記事を書いた人
国際中医師・国際薬膳師・東洋医学ライターTSUBO
健康雑誌編集部員をへて独立し、以後、健康や美容に関する雑誌・書籍・WEBの企画・編集・執筆を数多く手掛ける。現在は主に東洋医学による予防医学や、東洋医学から見た自然と人体のつながりについて執筆活動中。
Twitter:@MomoOtsubo
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