【更年期の養生 Vol.5】冬に増える腰痛。“乾燥タイプ”と“冷えタイプ”の原因・チェック・養生法
腎陽不足(冷えタイプ)の腰痛を防ぐ生活養生法

加齢のほか、冷気や冷たい飲食物、防寒不足などによって悪化しやすいのが腎陽不足の腰痛の特徴です。ここでは、腰を冷えから守るうえでの意外と重要なポイントについて、生活養生法をご紹介します。
◉骨盤をやさしくサポートするショーツを選ぶ
腰は腎を守る“家”のような場所であり、その“家”を包み込むショーツは腰痛を防ぐための“防壁”となるもの。レースのような薄手の素材のものやローライズなどは、腰を露出して腎を冷やし、腰痛を招く要因となります。ショーツはウエストが高めで締めつけがない骨盤サポートタイプを選ぶと、腰痛の予防につながります。シームレスで肌当たりのいい、通気性がいい素材のものを選ぶといいでしょう。なお、ボディラインを整える補正目的の骨盤ショーツは、締めつけが強いので腰痛対策には適しません。選ぶ際に注意してください。
◉スリッパやルームシューズを見直す
底の薄いスリッパやつま先が開いているスリッパ、ぶかぶかのスリッパなどは、足元を冷やしたり歩く際に負担がかかったりして腰痛の原因となります。スリッパやルームシューズは、底が1~2cmほどの厚みがあってすべりにくいもの、インソールはかかとを包むようにホールドしてくれる立体感があるもの、足の甲部分がぴったりフィットしていて歩いてもパカパカしないもの、つま先は閉じていて温かく、綿やウール、マイクロファイバーなどの保温性が高い素材のものを選ぶと、腎陽不足の腰痛対策になります。なお、ルームシューズの場合は足首やアキレス腱まで覆うショートブーツ型のものもおすすめです。
◉寝具を見直して睡眠中の腰の冷えを防止
朝だけ腰痛が起こる人の場合、寝ている間に腰を冷やしているケースも多いものです。例えば、毛布や掛け布団をかけていても、寝返りを打って布団がはだけたり、腰の反りやくびれなどで腰と布団の間に空洞ができたりして、腰まわりが冷気で冷えてしまうことがあります。掛け布団の下に毛布、そしてその下には腰だけにタオルケットか小さい毛布をかけると、寝ている間の腎陽の消耗を防ぐことができます。
また、ベッドの位置が窓際や壁際にある場合は、窓や壁からベッドを少し離しましょう。特に壁は夜になると体温よりずっと低温になるため、ベッドがぴったりくっついていると寝具が冷え、体も冷やしてしまいます。ベッドは壁から10cmほど離すようにしましょう。
◉起床直後は体を冷やさない
朝は最も腎陽が弱い時間帯。そのため、朝起きてすぐに窓を開ける、水仕事をする、冷水で顔を洗うなどの起床直後の冷たい刺激は、腎陽を奪って腰痛を強くする要因となります。朝に窓を開けるのは起床してから10~15分後にする、水仕事や洗顔は冷水ではなくぬるま湯で行い短時間ですませるなどを意識して、起床直後は体を冷やさないようにしましょう。
腰をケアすることは腎を守ることであり、生命力を守ること。更年期の健康を維持することにも直結します。腰痛が気になる人はもちろん、腰痛がないという人も、腰にやさしい生活養生をとり入れてみてください。
画像素材/PIXTA
この記事を書いた人
国際中医師・国際薬膳師・東洋医学ライターTSUBO
健康雑誌編集部員をへて独立し、以後、健康や美容に関する雑誌・書籍・WEBの企画・編集・執筆を数多く手掛ける。現在は主に東洋医学による予防医学や、東洋医学から見た自然と人体のつながりについて執筆活動中。
Twitter:@MomoOtsubo
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