官能的、シリアス、コメディまで、道ならぬ恋がもたらす悲喜劇3選
孤独な女性同士の静かで激しい愛を名女優たちが熱演
『アンモナイトの目覚め』
『アンモナイトの目覚め』© 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation and Fossil Films Limited
海辺の町で老いた母とひっそりと暮らす古生物学者のメアリーは、13歳の頃に発掘した化石が大英博物館に展示されているものの、彼女自体は無名で、観光客のお土産用のアンモナイトを探して細々と生計を立てています。
ある日、彼女は、裕福な化石収集家が長期の旅行に出かける間、その妻シャーロットを預かってほしいと頼まれます。人嫌いのメアリーは気乗りしないものの、お金のために引き受けることに。
『アンモナイトの目覚め』© 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation and Fossil Films Limited
ひとり化石採集をする日々を送るメアリーは、採集についてくるシャーロットに苛立ち、冷たく突き放します。しかし、いつしか自分とは正反対の愛らしくて奔放なシャーロットに惹かれていきます。シャーロットもまた然り。ついに体を重ね、燃え上がる二人ですが、シャーロットが家に帰ることになり……。
『アンモナイトの目覚め』© 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation and Fossil Films Limited
この映画は変わったつくりで、メアリー・アニングという実在の人物を使いながらもフィクションの部分が多いのです。メアリーは化石発掘で偉業を成し遂げているものの、女性であることから歴史にその名は刻まれていないそうです。
そのメアリーの恋愛についてはわかっていることはなく、この映画で描かれている同性愛というのはフィクションです。
『アンモナイトの目覚め』© 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation and Fossil Films Limited
ともあれ、アカデミックな世界で存在を消されているメアリーと、同じく階級社会で妻という立場のシャーロットは、互いに男性優位の世の中で孤独と不満を感じているからこそ共鳴し、愛しあったのでしょう。
静かに激しく燃えあがる愛を表現したケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンの演技はエレガントで大胆で一見の価値があります。特に、常に仏頂面のメアリーがシャーロットと結ばれた後に海で見せる子どものような笑顔が心に残ります。

『アンモナイトの目覚め』
2020年製作
DVD ¥4,180
発売・販売元:ギャガ
© 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation and Fossil Films Limited
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構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。
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