【人形浄瑠璃文楽、人間国宝・桐竹勘十郎さんインタビュー】
「人形やったらこうするのに、と常に思いながらの映画撮影でした」
PFF(ぴあフィルムフェスティバル)プロデュースの映画『道行き』に、人形浄瑠璃文楽の人形遣いで人間国宝の桐竹勘十郎さんが役者として出演しています。初めての演技のこと、文楽への思い、勘十郎さんに聞きました。
「なぜ私が映画に?」人形なしの演技に初挑戦!
奈良県御所市に、大阪から移住してきた映像作家の駒井(渡辺大知)。購入した古民家の改修工事を進めながら、元家主の梅本(桐竹勘十郎)と対話を繰り返す。家のこと、町の記憶、時計屋だった祖父の思い出……。やがてふたりのなかで、旅の風景が広がっていく。豊潤なモノクロームの映像、ゆったりと流れるハワイアン。『道行き』で初めて映画に出演した桐竹勘十郎さんはオファーが来たとき、「びっくりしました」と振り返ります。
「なんで? なんで私なんでしょうか!? と(笑)。人形遣いとして舞台には立ちますけどしゃべりませんし、人形に動きをつけてお芝居をしても、自分で演じるという経験はなかったので。『ちょっと考えます』と言うたものの、どう考えても想像できません。でも70歳を超えて、もしかしてね、こんなことを言うてきはることはもうないやろう、チャンスはチャンスだなと。何かの勉強になるかな? 1回やってみよう! ただそれだけです。まったく自信はありませんでした」
勘十郎さん演じる梅本は、改修工事の様子を見にやってきては、駒井を相手に四方山話を繰り返します。ちょっとのんびりした関西弁の響き、聴く人の心にスッと入ってくる抑揚。その語り口はなんとも耳なじみがよく、どこかノスタルジックなモノクロ映像と相性ピッタリ。
「最初に撮影したのは、渡辺大知さん相手に、歩きながら家の説明をする場面で。セリフがたくさんあって、いきなりこんなところから!? と間違えんように必死でした(笑)。それでも一度動き出すと、それほど不自然な思いはありませんでしたが、『人形やったらこうするのに………』と常に思いながらで。監督からは『ああせい、こうせい』というのは何もなく、余計に自信なくやってましたね」
勘十郎さん以外にも学者、ミュージシャン、鉄道員と、俳優を専業にしていない人が出演。古民家の改修、電車や駅での撮影を通して、駒井の日常がドキュメンタリーのような、ファンタジーのような、独特な世界観のなか綴られていきます。勘十郎さんは‟あの町に暮らす梅本さん”そのものという風情で、堂々と映像のなかに存在します。
「人形遣いと演技と、まったく違うものでもないんでしょうねぇ……。やる前は、動きながら決められたセリフを言うのが難しいだろうと思っていたんです。でもコタツに入って会話するとか、動きのないほうが難しかった。『普通にやってください』と言われても、会話するときは相手の顔を見る? 上を向くのか、下か? それすらわかりませんから。人形でもそう。女方(おんながた)に限らず立役(たちやく=男)でも、動く役のほうが得意で、じっとしているほうが難しいです」
そうして映画は完成するも、「観るのがイヤでイヤで」と勘十郎さん。演技をする姿は、自身の目にどう映ったのでしょうか?
「もちろん良くはないです(笑)。でも……そんなに邪魔にはなっていなかったのかなって。ちょっと胸をなでおろしました」
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