まるでゆるキャラ! 『蘆雪犬』に会いに行こう
50代の知的好奇心をくすぐる美術展3選
江戸時代の京都で活躍した絵師・長沢蘆雪。
自由な表現によって、独自の画境を切り開きました。
子犬や人物に宿る愛らしさとユーモアを、多彩な作品群を通して辿ります。
「かわいい」を極めた
江戸の絵師、長沢蘆雪
画家が「かわいいもの」を描き、人々は絵を眺めながら愛らしさを味わう……そんな素敵な美術が江戸時代にもありました。
長沢蘆雪は江戸時代中期、一八世紀後半の京都の人気画家です。
武士の子に生まれましたが、絵を志して円山応挙の弟子になります。
応挙は、それまでの日本にはなかった、「本物のような」絵を追究した画家です。風景や人物などの色々な題材を、リアルに、そして美しく描きました。
蘆雪は応挙の難しい技術をマスターして、見事なまでに応挙ばりの絵を描いています。
その一方で、蘆雪は禅僧や文人たちとの交流の中で、自由奔放な絵も描くようになります。精密な絵もあれば、わざとラフに描いて面白く見せる絵もある……江戸時代は、色々な芸術の価値観が共存した時代でもありました。
蘆雪の十八番の一つが、子犬です。
まず、師の応挙が、中国や朝鮮の絵をベースに、自分の目で
捉えた子犬の姿や仕草を取り入れ、「応挙犬」のスタイルを確立しました。
蘆雪は応挙犬そっくりに描くことから始めて、やがて「ゆるさ」いっぱいの「蘆雪犬」を作り上げます。
締まりのない姿やだらけた仕草で、見る者の心を一瞬でつかむ蘆雪犬ですが、この《菊花子犬図》は、そんな特徴を持ちながらも、丁寧に、繊細に描かれています。蘆雪犬の到達点と言える作品でしょう。
本展では、応挙ばりの精密な作品から、ゆるい絵まで、蘆雪の幅広い魅力を存分に味わっていただきます。
トップ掲載作品:長沢蘆雪 菊花子犬図 江戸時代中期(18世紀後半) 個人蔵
教えてくれたのは・・・
府中市美術館
学芸員
金子信久さん
府中市美術館学芸員。慶應義塾大学卒業。専門は江戸時代絵画史。『ねこと国芳』(パイ インターナショナル)、『もっと知りたい長沢蘆雪』(東京美術)、『子犬の絵画史 たのしい日本美術』(講談社)など著書多数。
『春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪』
場所: 府中市美術館(東京都)
開催:前期 開催中〜4月12日(日)、後期4月14日(火)〜5月10日(日)
※前期と後期で作品の展示替えあり
開館 :10:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
閉館 : 月曜日(5月4日は開館)
050-5541-8600(ハローダイヤル)
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企画展『スープはいのち』
衣服や住まいという身体の外側の環境と、食という内側の環境を「身体を包む行為」として捉えてきたデザイナー・遠山夏未氏をディレクターに迎え、スープを切り口に暮らしの根源を見つめ直す企画展。
水と食材を火にかけるという“最小の食”をきっかけに、五感を通して新たな視点や気づきを得ながら、衣食住の根源に触れる体験へと導きます。
21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2(東京都)
開催中〜8月9日(日)
text: Hanae Kudo
大人のおしゃれ手帖2026年4月号より抜粋
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