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「グラフィックデザイン」「ファイバーアート」「源氏物語」の世界へ
1990年代、パソコンの登場で大きな変化を遂げた日本グラフィック文化。
縦横無尽に浮遊する見慣れた「文字」こそが時代を投影する鏡なのかもしれない。
文字は言葉か、デザインか?
読んで魅せる日本語の「文字」からグラフィックの可能性を垣間見る
漢字、カタカナ、ひらがなを併用する日本の文字システムは実に複雑です。しかし、この複雑さは日本語ならではの多彩な文字表現を生み出してきました。
例えば、同じ言葉でも「ラーメン」「らーめん」「拉麺」と書き分けることで、雰囲気やニュアンスの違いが生み出せます。
また、「強と敵も」のような振り仮名を用いることで、一つの言葉を多義的に表現することができます。日本語は「読むこと」と「見ること」を複合させることで、独自のグラフィック文化を発展させてきたのです。
「もじ イメージ Graphic 展」はこのような日本の文字文化を手がかりに、グローバル時代におけ
るグラフィックデザインの可能性を探る企画展です。会場では50組以上の参加デザイナー、アーティストの作品群がテーマごとに展示され、現代の文字とデザインをめぐる表現や状況を横断的に紹介します。
本展で紹介する日本のデザインの特徴として、絵が文字になり、文字が絵になる感覚があります。ブックデザインのセクションで紹介しているテッド・チャン『息吹』の装幀は、装幀家の水戸部功が手がけたもの。文字の解体と再構築のなかに画文共鳴するデザインの一例です。
近年、グラフィックデザインの目的は、「情報を分かりやすく伝えることである」という主張が説得力をもってきました。その意見は間違いではありませんが、グラフィックデザインのもつ創造力やイメージの喚起力は無限大です。
日本の文字に潜むそのようなポテンシャルを、本展で再確認してみてください。
トップ掲載作品:テッド・チャン『息吹』(早川書房、2019)装幀:水戸部功
教えてくれたのは・・・
展覧会ディレクター
室賀 清徳さん
編集者、評論家。グラフィックデザイン、タイポグラフィ、視覚文化についての企画・編集、評論、教育、講演、キュレーションを国際的に行っている。「アイデア」前編集長。共著に『グラフィックデザイン・ブックガイド』など。
『もじ イメージ Graphic 展』
場所: 21_21 DESIGN SIGHT
開催 : 開催中〜3月10(日)
開館 :10:00 〜19:00(入館は18:30まで)
閉館 :火曜
TEL:03-3475-2121
この記事を書いた人
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