絵画が伝える異才の生き様とは? “画家”の伝記映画4選 ~芸術の秋に観たい映画②~
『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』
©2016 Small Shack Productions Inc./ Painted House Films Inc./ Parallel Films (Maudie) Ltd.
山粧う季節、「芸術の秋に観たい映画」シリーズの2回目は、画家の伝記映画をお届けします。第1回では作家の映画を紹介しましたが、作家も画家も己の生を注ぎ込んで表現をしているがゆえ、その創作物は長い年月がたってもなお人々の心に何かを訴えかけます。
目次
豊かに広がる美しい世界! 病を抱えながら描き続けた画家の生涯
『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』
カナダに実在した女性の画家と夫の真実の物語。幼い頃から重いリウマチを患い厄介者扱いされてきたモードは、小さな港町で叔母と暮らしていました。自分の生きる場所を見つけたい、そう思っていた彼女は、家政婦を探していたエベレットと出会います。孤児院育ちで学もないエベレットは、わずか4メートル四方の小さな家に住み、魚の行商を営んでいました。
主従関係から始まった二人の関係ですが、はみ出し者同士、どこか気が合ったのでしょう。「家を掃除しろ」と言われたモードは、殺風景な壁に愛らしい絵を描き、「家をきれいにした」と言います。呆気にとられながらも室内に絵を描くことを許すエベレット。家はまるで命を宿したかのように、明るく生き生きと変化していきます。
ある日、魚のことでエベレットの家を訪ねてきた女性がモードの絵の才能を見抜きます。いつしかモードの絵は評判を呼び、メディアで取り上げられ、アメリカのニクソン大統領からも依頼が来るように。そんなモードをエベレットは支えますが、病状は次第に悪化してきて……。
リウマチを抱えながら絵筆を離さず自由な心で描き続けたモードを、サリー・ホーキンスが熱演。妻の才能を認めながらも葛藤を抱えるエベレット役はイーサン・ホークで、家政婦を雇ったはずが絵に没頭する妻に代わって家事をする姿には思わず笑ってしまいます。モードの描く絵のように素朴で優しく力強さもある、そんな二人の愛に心打たれます。
『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』
2016年製作
DVD ¥4,180
発売・販売元:松竹
©2016 Small Shack Productions Inc./ Painted House Films Inc./ Parallel Films (Maudie) Ltd.
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。
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