老眼対策のウソ・ホント
細かいものを見るとき、眉間にシワが寄った〝にらみ顔〟になっていませんか?
そろそろ本格的な老眼対策が必要な「大人のおしゃれ手帖」世代。
正しい老眼対策のために、まずは老眼にまつわる疑問を解消しておきましょう。
知っているのと知らないのとでは、老眼対策が大きく変わるはずです!
目次
定説1・「老眼は治らない」?
20代の頃には戻れませんが、50代の状態は維持できます
老眼とは、目のピント調節力が低下した状態のこと。
年とともに、目の毛様体筋や水晶体が衰え、手元にピントが合いにくくなるのです。
しかし、老眼の原因は加齢だけではないそう。
「実は20代でも老眼の人は大勢います。これは目を酷使して、ピント調節力が低下しているから。老眼は、加齢と疲労という2つの原因で起こるんです」
目を酷使する現代では、中高年の老眼も「加齢+疲労」が重なっていることがほとんど。
「加齢による毛様体筋の衰えを治す手術もありますが、なかなか難しい。でも、疲労が原因の部分は改善できます。お手入れで肌を若々しく保つのと同じように、適切なケアで若々しい目を保つことは十分可能です」
毛様体筋が収縮すると、水晶体が厚くなって近くにピントが合います。
毛様体筋が緩むと、水晶体が薄くなって遠くにピントが合います。
定説2・「老眼は見づらくなるだけ」?
肩こりや頭痛の原因に。認知症にも影響します
「老眼だと、目から入ってきたぼやけた画像を、脳が一生懸命判断しなければなりません。脳が非常に疲れてしまうんですね。集中力も低下しますし、肩こりや頭痛などにもつながります」
最近は目の不調が認知症のリスクにつながるという説も。
さらに、目の病気にも要注意です。
「〝年齢的に老眼だろう〞と思っていたものが、実は緑内障や白内障だったという人が多いんです。近くも遠くも見えにくいのは目の病気の可能性も。早めに眼科を受診してください」
老眼は全身の不調の原因にも。
更年期障害だと思っていた症状が、自分に合った老眼鏡をかけたら、改善したという人もいるそう。
定説3・「近視の人は老眼になるが遅い」?
「なる」のが遅いのではなく「感じる」のが遅いだけ
実は目の老化は10代から始まっているといいます。
通常「老眼かも」と感じ始めるのは、一般的に40代後半からですが、近視の人は?
「近視の人も同じように老眼になります。ただ、手元が見えにくいと感じるのが遅いんですよ」
近視の人はもともと1m〜10㎝にピントが合うため、加齢で1m〜30㎝になっても、日常生活に支障が出にくく、気づきにくいのです。
近視の有無にかかわらず、老眼の初期には、症状に「波」があるのが特徴。
「夕方や週末になると見えにくい」のは、疲れではなく、老眼の初期症状かも。
早めにケアをしていきましょう。
加齢とともに近点距離は遠くなる
【10代】
ものを識別できる最も近い距離を「近点距離」といいます。
10代の近点距離は7~10㎝。
【40-50代】
近点距離22㎝~40㎝で、個人差が出てくる時期。
近点距離30㎝以上なら「老眼」。
【70-80代】
近点距離4mとなり、手元のものはほとんど見えなくなります。
定説4・「100円均一の老眼鏡は使ってはダメ」?
短時間使う分には構いません。長時間かけるのは避けて
平松さんによると、100円均一の老眼鏡は〝スリッパ〞みたいなものだそう。
サッと履くのはいいけれど、長時間歩くのはムリです。
「100円均一の老眼鏡も短時間使うのは構いませんが、長時間本を読んだりするのは避けて。脳に負担をかけて、全身の不調を招くことがあります」
また、手元が見にくいときにルーペを使う人もいますが、ルーペにもピント調節機能はありません。
脳が疲れてしまうので、長時間使うのは避けてください。
ルーペで拡大しても、ピントは合っていないのでボヤッとしたまま。
脳はフル回転で映像を処理するため、疲弊してしまいます。
定説5・「ブルーベリーは目にいい」?
老眼にはほうれん草やブロッコリーに含まれる「ルテイン」が◎
体をサビつかせる活性酸素の害を吸収し、老化や病気から守ってくれるのが「抗酸化物質」です。
ブルーベリーには「アントシアニン」という抗酸化物質が含まれていますが、目にいちばん集まりやすいのは「ルテイン」という抗酸化物質。
網膜の中心(黄斑部)に蓄積され、活性酸素を取り除いてくれます。
抗酸化作用の強い「アスタキサンチン」も老眼に有効とされています。
ルテインはほうれん草やブロッコリー、赤い色素であるアスタキサンチンは紅鮭、エビ、カニなどに多く含まれています。
定説6・「老眼鏡は早くかけ始めたほうがいい」?
目の負担が減って悪化しにくく。老眼鏡は趣味や生活スタイルに合わせて
老眼の対処法としては、老眼鏡が一般的。
自分に合ったものを使えば、目や脳の負担が減って、悪化しにくくなります。
老眼鏡を早くに使うのは躊躇してしまいがちですが、「手元の作業をちょっとラクにする眼鏡と考えてみて」と平松さん。
では、つくるときのポイントは?
「手元30㎝を見るか、40㎝を見るかで、老眼鏡の度数はかなりちがいます。自分の趣味や生活スタイルを医師に詳しく伝えることが大切です」
老眼鏡は「遠近両用」のものがよく知られていますが、「中近両用」や「近近両用」、最近では老眼用のコンタクトレンズもあります。
コンタクトレンズは近視、乱視、老眼に1枚で対応できるそうです。
「いずれも使いこなすには〝慣れ〞が必要。早めに使い始めて」
パソコン作業なら約50㎝、裁縫や読書、スマホ操作なら約30㎝がピント調節の目安。
例えばパソコン作業と裁縫をよくする人は「近近両用」がおすすめ。
定説7・「目の筋肉を鍛えれば老眼は良くなる」?
「鍛える」のはダメ。毛様体を「緩める」ケアを
手元を見る作業を続けると、毛様体筋は凝り固まってしまいます。
中腰で長時間作業すると、腰が痛くなるのと同じ。
毛様体筋は鍛えるのではなく、「緩める」ことが必要です。
毛様体筋を緩めるには、遠くを見ること。
1時間に1回は遠くを見たり、まばたきをしたりしてください。
トイレタイムやコーヒータイムを挟むのも◎。
なかでもおすすめなのは、100円均一の老眼鏡を使う方法です。
「+2度の老眼鏡をかけると、ボヤッとした視界を強制的につくることができます。
すると、毛様体筋がピント調節をあきらめて、緩んでくれるのです」
もう1つ取り入れてほしいのが、まぶたの「マイボーム腺」のマッサージ。
油の分泌を促すことで目を守る涙の質がアップ。ものが見えやすくなります。
教えてくれたのは・・・
平松 類先生
二本松眼科病院副院長、眼科専門医。
医師と患者のコミュニケーションを重視した、わかりやすい解説が好評で各メディアで活躍中。
著書も多数。近著は『自分でできる! 人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)。
イラスト/堀川直子 文/寺本 彩 画像素材/PIXTA
※大人のおしゃれ手帖2022年10月号をもとに再編集
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