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大人のおしゃれ手帖 1月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2025年1月号

2024年12月6日(金)発売
特別価格:1420円(税込)
表紙の人:原田知世さん

2025年1月号

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目覚めるシアター
〜文学作品の映像化に浸る〜

世の中にあふれる多くの映像作品の中から、毎回テーマやジャンルを決めて、
今観ておきたい新作映画、配信作品を厳選紹介。

読み継がれる名作や感涙のベストセラーなど、
今月は文学作品のエッセンスを映像へと昇華させた3作品を紹介。
小説と映像で、それぞれの世界観に浸ってみて。

『月の満ち欠け』

©2022「月の満ち欠け」製作委員会

 

生まれ変わっても会いたい切ない思いが胸をしめつける

愛する妻の梢と娘の瑠璃を、突然の交通事故で失ってしまった小山内。
大きな喪失感を抱える彼の前に、ひとりの男が現れて奇妙なことを告げる。
事故の日、瑠璃は面識のない自分に会おうとしていた。
そして彼女はかつて自分が愛した“瑠璃”の生まれ変わりではないか、と言うのだが……。
原作は『鳩の撃退法』などが映画化されている直木賞作家、佐藤正午の同名ベストセラー小説。
悲しみの淵に沈む主人公を大泉洋、ミステリアスなヒロインを有村架純、彼女と恋に落ちる青年をドラマ『silent』で視聴者の涙腺を刺激している目黒蓮が演じ、時を超えたケミストリーを紡ぎ出した。
にわかには信じられないような2つの物語が重なり、繋がったとき。
生まれ変わってもまた会いたいという思いが生んだ奇跡が、胸をしめつける。

 

監督:廣木隆一
出演:大泉洋、有村架純、目黒蓮、 伊藤沙莉、田中圭、柴咲コウ

 

丸の内ピカデリーほかにて全国公開中


『あのこと』

©2021 RECTANGLE PRODUCTIONS – FRANCE 3 CINÉMA – WILD BUNCH – SRAB FILMS

望まぬ妊娠をした主人公の決断を描くヴァネチア国際映画祭金獅子賞受賞作

1960年代のフランス。
貧しい労働者階級に生まれたが、持ち前の知性と努力で大学に進学して、勉学に励んでいたアンヌ。
しかし大事な試験を前に、望まない妊娠が発覚。
中絶が違法だったこの時代に、彼女はたったひとりで問題に立ち向かう。
原作は『シンプルな情熱』などで知られ、ノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノーが、かつての自身の経験をもとに執筆した『事件』。
アンヌの差し迫った日々を疑似体験するかのようなカメラワークが、彼女の戸惑い、怒り、恐怖といったすべての感情を伝えてくるかのようだ。
自分の欲望や体はほかの誰でもない自分のものであり、すべての決定権は私にある。
未来を切り拓くための痛みをともなうアンヌの決断は、中絶をめぐる問題が解決していない現代にも、大きな問いを投げかける。

監督:オードレイ・ディヴァン
出演:アナマリア・ヴァルトロメイ、サンドリーヌ・ボネール

Bunkamura ル・シネマほか全国ロードショー


〈Netflix〉
『西部戦線異状なし』

息をするのも忘れるような臨場感で戦地の真っ只中へ

第一次世界大戦下のヨーロッパ。
17歳のドイツ人、パウルは祖国のために奮い立ち、西部戦線へと赴く。
そこには想像以上に過酷な現実が待っていた。
世界的に読み継がれるレマルクによる戦争小説『西部戦線異状なし』。
1930年にアメリカで映画化されてアカデミー賞作品賞を受賞している小説が、ドイツ語の作品として製作された。
激しい塹ざん壕ごう戦せんで若い命が次々と失われる西部戦線。
それでも戦地の空はときに美しく、上層部は温かい部屋の中で食事をしながら愚かな指揮を執り続ける。
皮肉な描写や息をするのも忘れてしまうほどの臨場感あふれる場面が続き、観る者はこれでもかと戦争の理不尽さを突きつけられる。
セリフや心理描写ではなく、戦地の生々しい現実こそが反戦のメッセージとなり得ることを証明する作品だ。

監督:エドワード・ベルガー
出演:フェリックス・カメラー、アルブレヒト・シュッヘ、アーロン・ヒルマー

Netflix映画『西部戦線異状なし』独占配信中


選・文/細谷美香

大人のおしゃれ手帖2022年1月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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