ごきげんな私の作り方
〜三國万里子さんの場合〜
心配なことや不安なことが多い世の中だからこそ、
自分自身はいつもすっきり穏やかな状態でいたいものです。
自分のきげんは自分でとる。
それができるのは知恵と工夫をたくさん持ち合わせている大人だから!
ごきげんでいることは生きるためのベース作りでもあります。
小さな幸せを日常にちりばめて心の元気を保つ
人気ニットデザイナーの三國万里子さんは、常に気持ちがフラットで気分の浮き沈みがあまりないそう。
「若いころは不安定でしたが、自分のままならないこともたくさん経験し、年々幸せを感じるスキルが上がっている気がします。自分のきげんをとる術も自然と身につきました」
その術とは、素敵なものを探して、日常に小さな幸せをちりばめること。
三國さんにとって、〝物欲〟があることは元気の証です。
「欲しいものがあるってことは、心が元気だってことだと思うんです。私の場合、ものを作る仕事柄、それを作った人と気が合いそう!と感じるものに惹かれますね。アンティークのアクセサリーや古着など時間をかけて作られたもの、受け継がれて残ってきたものが特に好きです」
三國さん曰く、ものをたくさん持っていれば、幸せになれるというわけではなく、自分自身が愛することができる容量を見極め、そのものへの興味を深めていくことも必要。
「興味って自分で育てていかなくてはいけないものだと思うんです。好きなものを掘り下げていくと、興味の持ち方が変わって、見えるものの解像度が変わってきます。探し続けていくと思いもしないものにたどり着いて実りがあるんですよ」
お金と人間関係について
買い物をするとき、100円玉、500円玉の釣銭が出るよう支払いをして貯めておき、帰省したときに、実家の父母に渡します。
チャック付きの保存袋に二等分にして入れ、「おいしいラーメンを食べたりするのに使ってね」と。
装う-Fashion-
おしゃれは娯楽。毎朝、一から絵を描くように楽しむ
趣味がサイクルで入れ替わり、今はヴィンテージのブローチ期。
ニットの配色に合わせ、りんごのものを身に着けました。ラインストーンのコスチュームジュエリーは光を集めるのでマットな風合いのニットに合うんです。
話の糸口にもなるので、人と会う時には何かしら着けていますね。
大ぶりでジャンクなブローチを海外サイトで購入するのが息抜き。
どれも数千円で買え、キラキラとしていて眺めるだけでも楽しい。
家では、冬場は上質なスエットを愛用。
左はハイクの厚手ウール、右はサイのカシミア混。
肌触りがよく、包まれている安心感が癒やしに。
家の事-Housekeeping-
地味な家事ほど心が安らぎ
私は地味なことに幸せを感じますし、心がせいていない状態を得られるので、家事は何をするのも好きなんです。
寒い季節は毎日ニットを着ているので、前日に着たセーターの毛玉取りが毎朝の日課に。
数年前から浅草の老舗・アートブラシ社の毛玉取りブラシを使っています。
食べる-Food-
栄養満点で体の中から温まるポタージュの素を作り置き
ポタージュの素を作り置きし、スプーン2〜3杯を豆乳か牛乳で伸ばして温め、朝のスープにしています。
作り方は、ニンニク、玉ねぎ、種を抜いた唐辛子、ローリエをソテーし、スライスしたかぼちゃかじゃがいも炒め合わせ、ひたひたの水で柔らかく煮詰めマッシュするだけ。
簡単です。
美しく-Beauty-
好きな香りに包まれて就寝ぐっすり眠るおまじない
ニッチな香水を集めていて、眠る前に気分で選んでつけています。
お気に入りは、レモンティーの香りがするカルトゥージアのメディテラネオ。
10年前から使っていて3瓶目。
収納には骨董市で見つけた北欧のバスケットを使っています。
べリーを摘みに行くときに使われていたものだそう。
暮らし-Other-
平穏に暮らせている奇跡に感謝し、少しの負担を
10年前から数か月に一度、WWF、国境なき医師団、国連UNHCR協会に、自分のできる範囲で寄付しています。
温暖化など世界の問題に興味を持って自分事としてとらえ、活動を支えていると思うとほっとするんです。
悲しいニュースを目にしてたまった無力感も減らせます。
ニットデザイナー
三國万里子(みくに・まりこ)
新潟県生まれ。3歳から祖母に編み物を教わる。
「気仙沼ニッティング」、「Miknits(ミクニッツ)」のデザイナー。
手芸本を多数手がけ、昨年秋に初のエッセイ本を上梓。
撮影/安彦幸枝 文/坂口みずき
大人のおしゃれ手帖2023年1月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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