齋藤智子さんpresents 香りの力で自分を癒やす アロマの処方箋 vol.2
アロマ調香のはじめの一歩
今回から、実際にご自宅で使えるアロマのお話です。精油をお持ちの方はぜひ香りを嗅ぎながら、組み合わせをお楽しみくださいね。
香りを嗅いでみよう
久しぶりに香りを嗅ぐときや試すときは、自分の持ち物に直接つけるのではなく、ぜひムエット(試香紙)に垂らして嗅いでみましょう。ムエットは無臭なので、体臭や柔軟剤などの香りと混ざることなく、精油本来の香りを感じることができます。
ほとんどの方はご自身のムエットをお持ちでないと思いますので、ティッシュや厚紙に1滴垂らして嗅いでみてください。
今回は、私が主催するアロマ調香デザイン講座で最初に嗅いでいただく「レモン」の香りを例にお話します。
まずは香りの第一印象。
スッキリする、酸っぱい、目が覚める、美味しそう……。
もう少し深く香りを感じてみると、レモン色、夏、サイダー、弾ける感じ、青春を思い出す……。
実際にイメージを言葉にしてみると、レモンの香りがより具体的になりますね。実際に嗅いでいなくても、“そのレモンの香り”の印象がリアルになります。
アロマ調香デザインをする上で、実はこのリアル感が肝になってきます。なぜなら、香りは目に見えないから。誰かに香りを伝えるためには、この感じて、想像して、言葉にしてみる、の作業が不可欠なのです。
アロマ調香とは、「リラックス」「眠り」「集中力」という働きに注目したアロマセラピーとは似て非なるもの。「自分らしく」「自分好みの香り」を楽しむことを目的としているので、自身への身につけ方や空間での楽しみ方がぐんと広がっていきます。
精油の数が多いほど、調香の楽しみ方は倍以上。しかも、生産者がしっかり抽出した100%の天然精油なら、1種類でも数百の芳香成分が含まれているのです。
まずは先ほどのレモンのように、1種類の香りを深く楽しんでみてください。
精油を組み合わせる
早速、香りを組み合わせてみましょう。
ガラスの器などに2種類、3種類、と1滴ずつ垂らしてみます。徐々に香りが変化してきたのがわかりますか?
なじみのある香りも、組み合わせることで複雑で奥深い香りへと変わっていきます。そのまましばらく器を置いておくと、酸素と香りの成分が混ざり合い、まろやかで柔らかい香りへと変化していきます。
これがアロマ調香デザインの醍醐味とも言えます。
もっと甘さが欲しい。
スッキリした香りがいい。
ゆっくりと呼吸を深めたい。
精油の組み合わせや垂らす量を変えることで、自分好みの香りに出合え、それを今後も作り出すことができるのです。
アロマ調香のために、まずは揃えたいグッズ
新しいアロマの楽しみ方「アロマ調香デザイン」のために、最初に揃えておきたい3つのアイテムをまとめてみました。
① 精油3〜5本
初心者におすすめの香り:レモン、オレンジスイート、ラベンダー、ヒノキ、ユーカリ(ユーカリラディアータ)など、身近なフルーツや植物で、生活の中で嗅ぎなれているもの
② 精油を垂らす器(ガラスの器がベスト)
ベストなのはガラスの器。洗剤で洗うことでにおいが残りにくい。
③ ムエット(試香紙)やティッシュ
これだけです。
実は私も家では精油をティッシュに垂らし、小皿の上に置いて自然に香らせています。
ディフューザーなどのお手入れの手間が省けますし、電気代もかかりませんから。
部屋全体に香りを広げたい人には、ディフューザー使いがおすすめですよ。
今回の簡単アロマの処方箋
・レモン 2滴
・オレンジスイート 2滴
・ユーカリラディアータ(もしくはユーカリグロブルス) 1滴
レモンには抗菌や血流を高める働きがあり、多くの方が好むオレンジスイートには気持ちをグッとあげてくれる働きがあります。
また、ユーカリ(特にユーカリラディアータ)には去痰作用や空間に香りをひろげる働きがあり、クリアな明るいイメージを持っています。
うだるような暑い日、気分が落ち気味な日の朝やリフレッシュしたいときにおすすめな香りです。
単体で香らせても、調香しても作用は変わらないので、その日の気分に合わせて堪能してみてください。
齋藤智子
一般社団法人プラスアロマ協会代表理事、アロマ調香デザイナー®️
京都で10代続く家に生まれ、白檀の香りに魅かれて調香の世界へ。20年間で創作した香りは6000種以上。代表作「TRANSITIONS」〜ミラノで最も美しい空気〜(Milano design award best technology賞)はミラノサローネで60万人の心を動かした。国内外で企業やブランドのアロマ空間演出を手がけるほか、美術館の創香などアート分野の企画も多い。近年は、日本各地の農家や蒸留所との連携、マーケティングやサイエンス分野の研究など香りの可能性を広げる活動も行う。著書『アロマ調香デザインの教科書』(BABジャパン出版)。