齋藤智子さんpresents 香りの力で自分を癒やす アロマの処方箋 vol.3
清涼感に包まれる香り
今回は、夏を快適に過ごすためにおすすめな涼しさを感じる香りをテーマにお伝えします。
精油をお持ちの方はぜひ香りを嗅いで、ブレンドしながらお楽しみくださいね。
ペパーミントで体の冷感センサーが作動
暑い季節にぜひ堪能していただきたいアロマはペパーミント。
すっきりとした清涼感が特徴の香りで、スペアミント、和ハッカなども同じ仲間です。
「ミントの香りを嗅ぐだけで、体は涼しさを感じる」
香りを嗅がない状態で水温28℃の水に手を入れて感じる体感温度と、ペパーミントの香りを嗅いだ状態で水温32℃の水に手を入れて感じる体感温度が同レベルであり、ペパーミントの香りを嗅ぐことで4℃も体感温度が下がるというのです。
※出典:「香りが感覚/使用感触の判断に及ぼす効果」 (株)資生堂製品開発センター香料開発室 庄司 健 (発表当時)より
これは、ペパーミントの香りに含まれるメントールという芳香成分が私たちの嗅覚に届くと、冷感センサーが作動して脳にその情報が伝達され、スッとした冷感を感じるため。
だから香りを嗅ぐだけで涼しく感じるのです。
ペパーミントの精油を1滴うちわやハンカチに垂らしパタパタと扇ぐと、さらに涼しく感じます。
ホットフラッシュで暑く感じるときや、気持ちをリフレッシュしたいときにもおすすめです。
ただし、ミントは肌への刺激が強いので、直接つけるとヒリヒリ感じる場合も。
マスクで香らせたいときなどは、直接肌に触れないようにダイレクトにはつけず、マスクに貼れる不織布のシールが売っていますので、そこに精油を垂らすのがいいでしょう。
この他にすっきり系の香りでおすすめなのは、ユーカリやローズマリーのハーブの香り。
去痰作用を持ち、呼吸器系にも作用するので、クリアな印象を与えてくれます。
数種類を組み合わせてももちろんOKです。
グリーン調の柑橘系もおすすめ
次におすすめなのが柑橘系の香りです。
どの香りも爽やかで、リフレッシュや抗うつ作用がある仲間。
お好きな香りでいいですが、レモンやグレープフルーツ、ベルガモットやライムなどです。
共通しているのは「グリーン調」の香りということ。
他のアロマにこれらの香りを加えることでほんのりビターな香りが加わり、香りを引き締めることができます。
私が開講しているアロマ調香デザイン®️のクラスでは、この「グリーン調」と呼ばれる香りを組み合わせて、より目的に合った好みの香りに調整していく練習を行います。
またグレープフルーツには、体内の余計な水分を排出してくれるという働きがある芳香成分が含まれます。
むくみが気になるときに香りを嗅いだり、ホホバオイルなどに混ぜて膝下を優しくマッサージするのもいいですね(濃度はホホバオイル大さじ1に対して1~2滴)。
ただし、柑橘類は直接日光に当たると肌のシミの原因になることもありますので、お出かけ直前の使用は避けたほうがいいでしょう。
今回の簡単アロマの処方箋
・ペパーミント 1滴
・レモン 2滴
・グレープフルーツ 2滴
ペパーミントは冷却作用、レモンは抗菌や血流を高めて気持ちを明るく、グレープフルーツはデトックスの働きがあります。
爽やかな香りを組み合わせて、暑い日も、すっきり清涼感のある1日をお過ごしください。
齋藤智子
一般社団法人プラスアロマ協会代表理事、アロマ調香デザイナー®️
京都で10代続く家に生まれ、白檀の香りに魅かれて調香の世界へ。20年間で創作した香りは6000種以上。代表作「TRANSITIONS」〜ミラノで最も美しい空気〜(Milano design award best technology賞)はミラノサローネで60万人の心を動かした。国内外で企業やブランドのアロマ空間演出を手がけるほか、美術館の創香などアート分野の企画も多い。近年は、日本各地の農家や蒸留所との連携、マーケティングやサイエンス分野の研究など香りの可能性を広げる活動も行う。著書『アロマ調香デザインの教科書』(BABジャパン出版)。