目覚めるシアター
大人心を揺さぶる映像作品を紹介している誌面連載「目覚めるシアター」。
最新号では"異色のラブストーリー”をテーマに作品を紹介しています。
その中から瑞々しい映像表現が目を引く1作品をご紹介します。
『リコリス・ピザ』
70年代のロサンゼルスで描く
恋愛のような関係のゆくえ
70年代、ハリウッド近郊のサンフェルナンド・バレー。
子役として活動してきた高校生のゲイリーは、カメラマンのアシスタントをしている25歳のアラナに一目惚れをする。
『マグノリア』などで知られるポール・トーマス・アンダーソン監督が、地元を舞台にして撮った青春映画。
年齢の離れたふたりがウォーターベッドの販売をしたり、セレブリティの世界に足を踏み入れたり。
ませた10代の男の子と居場所を探す20代の関係は、恋愛のようでもあり奇妙な共犯関係のようでもある。
監督のまなざしは痛みを感じながらも青春を駆け抜けるふたりの日常と冒険に寄り添い、危なっかしくもかけがえのない瞬間を祝福しているかのよう。
70年代のファッションやインテリア、音楽、ショーン・ペンらスターたちの怪演も心を弾ませてくれる。
『リコリス・ピザ』
監督:ポール・トーマス・アンダーソン出演:アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン、ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディ
TOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開中(2022年7月7時点)
select & text: Mika Hosoya
photo: © 2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.
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