【著者インタビュー】香山リカさん
50代で「新たな生き方」を選択するまでの冒険の日々
現在、60代にして北海道穂別で〝へき地医療〟に取り組んでいる、精神科医の香山リカさん。
新刊では、新たな生き方を選択するまでの冒険の日々がエネルギッシュに綴られています。
大事なのは「失敗しても反省しすぎない」こと
2022年から、北海道のむかわ町穂別で地域医療に取り組みながら、週末は東京で精神科診療を続け、二拠点生活を送る香山リカさん。
転身の理由は、へき地医療に情熱を傾ける元同級生との再会、アフガニスタンで医療支援に取り組んできた医師・中村哲さんの死、実母の他界などいくつかの出来事が重なったことから。
「中村先生とは面識もなかったのですが、自分でも驚くほどショックを受けて。便利な東京で暮らしていることに罪悪感を覚えて、自分も医師として誰かのために貢献すべきと考えるようになりました」
とはいえ、精神科以外の臨床経験のない香山さんは、へき地医療に携わる医療スキルを持っておらず、母校・東京医大病院で総合診療の研修を受けることに。
さらには運転免許の再取得や体力作りにも励み、勤めていた大学を辞めて転職先を探し……と、今に至るまでの道のりを綴ったのが、『61歳で大学教授やめて、北海道で「へき地のお医者さん」はじめました』です。
「今までずっと依頼を受けてから書くという執筆スタイルでやってきて、注文がなければ何も書かなかった。でも今回初めて、自分のために書き留めておきたいと思ったんです。
それは、穂別の人々からの影響もあって。穂別では趣味で短歌や手芸、庭づくりをしている人が多いけど、みんな承認欲求やお金を稼ぐためではなく、ただ自分のためだけにやっている。それはすごく豊かな生き方だと感じます」
地域医療とまではいかなくとも、50代になって新しいことを始めたり、何か社会貢献がしたいと考えている人は多いはず。そんな人へ向けて、一歩踏み出すためのアドバイスは?
「まずは最終的にやりたいことよりハードルの低いことに挑戦して、弾みを付けるといいのでは。ただ矛盾しているようですが、いきなり挑戦して失敗してもいいと思うんです。大事なのは、上手くいかなかったときに『もう私はムリなんだ』と諦めず、別の方法を探すこと。
私だって、穂別に行っても医師として通用しない可能性もあった。でも『そのときはそのときで何とかなる』と考えていました。今やりたいことが見つからない人は、子どもの頃や若い頃に自分が好きだったことを再び調べてみるのも、夢中になれるものを探すヒントになるかもしれません」
『61歳で大学教授やめて、
北海道で「へき地のお医者さん」はじめました』
香山リカ
¥1,760(集英社クリエイティブ)
精神科医として知られる著者が、2022年に北海道南部のむかわ町穂別にある診療所で働くまでの過程を綴った一冊。自動車運転免許の再取得、転職先探し、少女時代に好きだった恐竜との再会……と、新たな人生へと踏み出すまでのストーリーに勇気をもらえます。
編集部のおすすめ
“日常を面白がる”ことで人生は幸せに満ちたものに
『茶柱の立つところ』
著/小林聡美
¥1,650(文藝春秋)
エッセイストとしても人気の小林聡美さんが、50代半ばで考えていることや実践していることをテーマに綴ったエッセイ集。初めてのZoomに挑戦したり、老眼鏡デビューしたり、バスガイド付きツアーを満喫したり……。日々の暮らしに試行錯誤しながら、小さな発見に驚きを見いだす姿は、これからの人生を楽しく暮らすヒントになりそうです。
日々の喜びや葛藤を綴った読む人に寄り添う等身大エッセイ
『へそまがりな私の、ぐるぐるめぐる日常。』
著/菊池亜希子
¥1,595(宝島社)
出産、子育て、愛犬との別れ、40代を迎えての心情の変化など、モデルの著者が日々の中でぐるぐる考えていることを綴った一冊。答えの出ないモヤモヤした気持ちやプライベートな出来事もありのままに書いた率直な語り口は、まるで親しい友人の打ち明け話を聞いているよう。巻頭には親交のある写真家・川島小鳥さんによる撮り下ろしも。
撮影/白井裕介 文/工藤花衣
大人のおしゃれ手帖2024年5月号より抜粋
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