カテゴリー

人気タグ

大人のおしゃれ手帖 12月号

大人のおしゃれ手帖

最新号&付録

大人のおしゃれ手帖
2024年12月号

2024年11月7日(木)発売
特別価格:1650円(税込)
表紙の人:天海祐希さん

2024年12月号

閉じる

記事公開日

この記事の
関連キーワード

大人のおしゃれ手帖
の記事をシェア!

【杉田雷麟さん×寛一郎さん】 探し続けることで、自分がわかる ――映画『プロミスト・ランド』インタビュー

大人のおしゃれ手帖編集部

この記事の画像一覧を見る(4枚)

童心を忘れない50代に(寛一郎さん)

ロケ地では都会では味わえない山の恵み、海の恵みにも触れたそう。

杉田 地元の方が作ってくださった熊汁をいただきました。

寛一郎 撮影中、お世話になった猟友会の方が、めったに獲れないという熊を獲ってくれたんです。それを雪のなかに入れて保存し、撮影で使わせてもらいました。そのあと、熊肉を煮込んでくださったんですけど、め~ちゃくちゃおいしかったです! まったく臭みもなくて。醤油ベースで、野菜がいろいろ入っていて。

杉田 あれはおいしかった。おかわりしました。ほかにも山菜の天ぷらとか、あとなんだっけな…なにかの漬物がおいしくて(笑)。

寛一郎 海苔もおいしかった! パリパリじゃなく、ちょっとしっとりしていて。山形って食材が豊富で、山のものと海のものと、両方あるんですよね。

杉田 信行はふだん鶏の世話をしている役だったので、ロケ先で卵かけごはんをいただいたんです。鶏小屋のシーンの出演者は僕だけだったんですけど、そのごはんがなんとも言えないほどおいしくて。

寛一郎 へ~! いいね。

 杉田 熊を獲ったら肉を残らず食べ、剥いだ革は、雪の上に座るときの尻当てにしたりする。すべてを無駄なく使い、感謝するという姿勢は尊敬すべきだと素直に思いました。そうした文化に触れられて、撮影期間中、そんな空間にいられたことがありがたかったです。

奥深い山に分け入り、熊と対峙し、自身を見つめ直す--。撮影を通し、若いおふたりの心も動いたよう。

寛一郎 信行と礼二郎が熊撃ちに行って感じた何か。それは言語化しえないものだけれど、なにかパワーをもらったのかなと。信行は映画の冒頭とラストとで、大きく変化します。そこにはわかりやすいきっかけがありますけど、「なぜだろう?」と思っていることを、毎日自分に問い続けていたら、どこかであるとき、答えが見つかるのかも。自分から行動しよう!と思うときがくるのかもしれないなと。

杉田 流されるままでいるのと、常に意識しているのとではぜんぜん違いますよね。心情の変化で目に映る景色も違うでしょうし。僕自身はずっとサッカーをやっていて、当時は俳優になるなんて考えてもいませんでした。進学でサッカーを諦めることになったのを機にこの世界に入ったのですが、ただきっかけを待っていたわけではなくて。たくさん考え、探そうとして行動を起こしたことで「自分はこういうことがやりたかったんだ!」とわかったんです。信行にとってはそれが熊狩りだったわけで、自分と重なるところがあるのかもしれないなと。

そんなおふたりに、理想の50代について聞いてみました。

寛一郎 50代か…。

杉田 俳優として生き残っていたらいいですけど。

寛一郎 その年齢までこの仕事を続けられていたら、それはスゴイことですね。

杉田 主役も脇役もどちらもやれて違和感がなく、存在感を出せる俳優になれたら。それを目指して目の前のことに取り組んでいます。この仕事を始めて1~2年は、結局、主演がいちばんじゃないか? と思っていたんです。でもそのころ大杉漣さんのインタビュー記事を見て。「主役でも脇でも、大杉漣というものを残せばいい」という意味のことをおっしゃっていた。主演をしても人の記憶に残らないかもしれない……。自分の考えは甘かったなと。

寛一郎 僕は童心を忘れていなければいいなと。年齢を重ねればチャレンジすることに臆病になるだろうけど、自分が積み上げられるものなんて高が知れています。そんなものは思いっきりぶっ壊したい。子どもの心、チャレンジする気持ちを忘れないでいられたらいいですね。


PROFILE:杉田雷麟(すぎた・らいる)
2002年生まれ、栃木県出身。1917年より活動開始。2019年に映画『半世界』でヨコハマ映画祭最優秀新人賞、高崎映画祭最優秀新進俳優賞受賞。その他の出演作に「ガンニバル」「Aではない君と」等のドラマ、『教誨師』『長いお別れ』『山歌』『福田村事件』『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』等の映画がある。

PROFILE:寛一郎(かんいちろう)
1996年生まれ、東京都出身。2017年に『心が叫びたがってるんだ。』で映画初主演。『菊とギロチン』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で多数の新人賞を受賞。主な出演作に大河ドラマ『鎌倉殿の13人』『せかいのおきく』『首』『身代わり忠臣蔵』等の映画がある。『シサム』(9月13日公開)、『ナミビアの砂漠』、『グランメゾン・パリ』が公開待機中。

杉田雷麟さん、寛一郎さん出演映画
『プロミスト・ランド』

過疎化で閉塞感の漂う山形の山間地。禁猟令の敷かれた山に入り、熊撃ちに挑む若いマタギふたりの熱く静かな時間。第40回小説現代新人賞を受賞した飯嶋和一の小説「プロミスト・ランド」を映画化。

監督・脚本/飯島将史 
原作/飯嶋和一「プロミスト・ランド」(小学館文庫「汝ふたたび故郷へ帰れず」収載) 
出演/杉田雷麟 寛一郎 三浦誠己 占部房子 渋川清彦 / 小林薫 
2024年6月14日(金)MOVIE ONやまがた、鶴岡まちなかキネマにて先行公開、6月29日(土)ユーロスペースほか全国順次公開
©飯嶋和一/小学館/FANTASIA

撮影/本多晃子 スタイリスト/青木沙織里(杉田さん)、坂上真一[白山事務所](寛一郎さん) ヘアメイク/後田睦子(杉田さん)、AMANO(寛一郎さん) 取材・文/浅見祥子

この記事のキーワード

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

ファッション、美容、更年期対策など、50代女性の暮らしを豊かにする記事を毎日更新中! ※記事の画像・文章の無断転載はご遠慮ください

執筆記事一覧

Instagram:@osharetecho
Website:https://osharetecho.com/
お問い合わせ:osharetechoofficial@takarajimasha.co.jp

記事一覧へ戻る

大人のおしゃれ手帖の記事をシェア!

関連記事