オリンピックも開幕! パリの街が舞台の名作映画・ドラマ3選
忘れられない人とパリで再会、夕暮れまでの85分間
『ビフォア・サンセット』
パリを歩く映画といえば、『恋人までの距離ディスタンス』(95年)から9年後のあの二人を描いた『ビフォア・サンセット』(04年)が真っ先に思い浮かびます。
ユーロトレインの中で出会ったアメリカ人の青年ジェシー(イーサン・ホーク)とソルボンヌ大学生のセリーヌ(ジュリー・デルピー)は、ウィーンで下車してロマンティックな14時間を過ごし、駅のホームで別れました。
あれから9年、作家としてパリの書店「シェイクスピア&カンパニー」を訪れていたジェシーは、来店したセリーヌと運命の再会を果たします。
二人は石畳の道を並んで歩きながら、あふれる想いを抑えて近況を伝え合いますが、共に過ごせる時間は彼が空港に向かうまでの85分間だけ。
カフェで、公園で、セーヌ川のバトー・ムーシュ(遊覧船)で、タクシーの中で、二人は恋愛やセックス、結婚についてしゃべり続けますが、本当に知りたいことは聞けぬまま、別れの時間は刻一刻と近づいてきて……。
夕暮れまでの85分間を上映時間81分間で描いた本作は、ほぼリアルタイムで進行していることから、観ている側も二人と一緒に時を刻むような感覚になります。
だから、船に乗って風に吹かれながらノートルダムを見上げながらも、「ああ、時間が過ぎていく」という焦りを感じてしまい、それがまたいいのです。
ラストでセリーヌのアパルトマンに立ち寄ったジェシー、飛行機には間に合ったのでしょうか。
その答えは、本作から9年後、再び二人の9年後を描いたギリシャが舞台の『ビフォア・ミッドナイト』(13年)で明かされます。
この3部作、筆者はどれも大好きなのですが、特にパリ編がお気に入りです。
『ビフォア・サンセット』
2004年製作
Blu-ray ¥4,980/DVD ¥1,572
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。