絵画が伝える異才の生き様とは? “画家”の伝記映画4選 ~芸術の秋に観たい映画②~
ゴッホが描こうとしたものと死の謎を解き明かす名作
『永遠の門 ゴッホの見た未来』
「ひまわり」などの名画で知られる画家フィンセント=ファン・ゴッホといえば、耳を切り落としたエキセントリックな逸話や、生前には才能を認められず貧しいままで亡くなったことなどで知られています。その生涯を映画化したのは、『潜水服は蝶の夢を見る』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞したアーティストのジュリアン・シュナーベル。先に紹介した『バスキア』と同じ監督です。
ゴッホは南フランスの大自然の中を歩き回り、ひたすらに絵を描いていました。キャンバスに絵の具を厚く塗り重ねた独特の描き方は、友人のゴーギャンいわく「絵というより彫刻」。そんな個性あふれる油絵はまったく評価されず、1枚も売れない日々。ゴーギャンが去ったショックもあり、ゴッホは自らの片耳を切り落とすなど、自制心を失っていきます。それでも樹木や草木など豊かな風景を前にすると、彼の心は自然と対話をし、そこに本当に描きたいものを見出すのでした。精神を病みながらも描き続けるゴッホですが……。彼の死には諸説ありますが、本作では新たな解釈で死の謎に迫っています。
ゴッホを演じたのは、ウィレム・デフォー。芸術家の神聖なまなざしと狂気を静かに表現し、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。ゴーギャン役にオスカー・アイザック、聖職者役でマッツ・ミケルセンも共演。美しい映像と素晴らしい演技で見応えのある作品です。
『永遠の門 ゴッホの見た未来』
2018年製作
デジタル配信中
提供:ギャガ/松竹
© Walk Home Productions LLC 2018
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構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。