音に魅せられた天才たちの物語。 “音楽家”の映画3選～芸術の秋に観たい映画③～

華やかさの裏で渦巻く嫉妬、モーツァルトとサリエリの物語
『アマデウス』

　ある寒い夜、ウィーンの街で自殺を図った老人が精神病院に運ばれてきます。彼は、宮廷音楽家のアントニオ・サリエリだと名乗り、彼の人生のすべてを変えてしまったある男について語り始めます。

　その男とは、若くして世を去った天才音楽家のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。サリエリは皇帝ヨゼフ二世に仕える作曲家として人々から尊敬されていましたが、そんな彼の目の前に、類まれな音楽の才能を持つモーツァルトが現れたのです。

　サリエリもまた優れた音楽家であるがゆえに、彼の悲劇は始まります。凡人には理解できないモーツァルトの音楽の凄さがわかるからこそ、その才能に激しく嫉妬してしまうのです。音楽にひたむきで信仰心にあついサリエリがいくら願っても手に入らない才能を、モーツァルトは持っている。しかし、モーツァルト自身は天真爛漫で品がなくて傲慢な人間なのです。サリエリは高笑いするモーツァルトを前に、絶望するのでした。