50代以降に発症しやすい「指定難病」を知る
50歳以上で発症しやすい指定難病
指定難病にはたくさんの種類がありますが、ここでは50代以降に発症しやすい病気をいくつかご紹介します。
なお、女性に多い自己免疫疾患(※)である「膠原病」は、ひとつの病名ではなく複数の病気の集合体の名称です。指定難病となっている膠原病は「シェーグレン症候群」「結節性多発動脈炎」「全身性強皮症」「多発性筋炎・皮膚筋炎」「悪性関節リウマチ」などがあります。
※自己免疫疾患は、本来は自分の体を守るはずの免疫システムが正常に働かず、自分の体を攻撃してしまう病気です。
シェーグレン症候群(指定難病53)
女性に多い病気で、発症のピークは50代です。主な症状は目の乾燥、口の乾燥、鼻腔の乾燥、膣の乾燥など。ほかに関節痛、日光過敏、疲労感、頭痛などが現れることもあります。
現状では根本的な治療法はありません。乾燥症状に対しては、目の乾燥に点眼薬、口の乾燥に内服薬、膣の乾燥にエストロゲンを配合したクリームなどがあります。神経や関節などの症状にはステロイドや免疫抑制薬を使用することがあります。
結節性多発動脈炎(指定難病42)
血管壁に炎症を生じる病気で、40~60歳に多く見られます。発熱や体重減少、高血圧、皮膚症状、筋肉痛、関節痛、手足のしびれ、脳梗塞、心筋梗塞など多彩な症状があります。
治療は副腎皮質ステロイド(ステロイド)の内服が基本で、免疫抑制薬を併用することもあります。治療により普通の日常生活を送ることができる可能性がありますが、体に負担がかかると悪化する可能性もあり、規則正しい生活習慣が大切です。
全身性強皮症(指定難病51)
皮膚や内臓が硬くなることが特徴で、30~50代の女性に多く見られます。症状は、レイノー症状(手指が蒼白や紫色になるもの)、皮膚硬化などの皮膚症状、間質性肺疾患、強皮症腎クリーゼ(腎臓に障害が起こり、その結果高血圧が生じるもの)、逆流性食道炎など。
現状では根本的な治療法はありませんが、それぞれの症状に対してある程度の効果を望める治療法が開発されています。もっとも効果が期待できる治療が受けられるよう、強皮症研究会議のホームページでは「全身性強皮症の診断基準・重症度分類・診療ガイドライン」を公表しています。
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この記事の監修者
医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長菊池大和
2004年3月、福島県立医科大学医学部卒業後、湘南東部総合病院外科・外科科長などを経て、令和元年5月1日より現職。「総合診療、救急診療を通じて、地域医療に最大限に貢献する」ことを目的に日々診療を行う。 救急センター長日本救急学会救急科専門医、日本外科学会外科専門医、日本慢性期医療協会総合診療認定医、日本医師会認定健康スポーツ医、認知症サポート医身体障害者福祉法指定医(呼吸器)、厚生労働省初期臨床研修指導医、神奈川県難病指定医、エピペン処方認定医
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