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大人のおしゃれ手帖 5月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2024年5月号

2024年4月6日(土)発売
特別価格:1360円(税込)
表紙の人:南果歩さん

2024年5月号

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松之助オーナー・平野顕子さんの N.Y.からおすそ分け vol.1

松之助オーナー・平野顕子さんの N.Y.からおすそ分け

京都や東京・代官山で行列ができる人気のお店「松之助」。代表作のアメリカンアップルパイは著名人のファンも多く、おなじみのスイーツ有名店です。
この松之助・オーナーの平野顕子さんは70歳を迎えても、パワフルに、ご自身を取り巻くさまざまなご縁を大切にしながら活動されていらっしゃいます。
「楽しみはこれから」と、今もなお夢に向かって前進中! ニューヨークと日本の二拠点で生活される平野さんの暮らしぶりから見える“心地よく暮らすヒント”をおすそ分けいただきます!

フィッシングの楽しみ

今や生活の一部になっている釣り。実は60歳になってから夫の影響で始めました。
夫は海と雪山をみていたら幸せな人。質素倹約を旨として、10ドルのスニーカーを満足して履いています。彼の口癖は「share」と「We did!」。
私はそんなふうに言ってもらうと温かいものに包まれて優しい気持ちになり、何気ない喜びがそこここに溢れていることに気づきます。自分一人では気づかなかったことや楽しみのshareを受けて、今、私は釣りとスキーに夢中です!

北大西洋に突き出たロングアイランド半島。ここには何百、いや何千もの釣り場が存在します。
特に私たちの好きな釣り場がいくつかあります。今日はその一つを目指します。釣竿や餌など釣りに必要なものは車のトランクに詰め込んであるので、思い立ったらいつでも行ける状態です。
釣り場によっても起床時間が異なりますが、基本は超早起きです。遠い釣り場は170km近く離れていて、2時間余りかかりますが、好きなラジオ番組をセットして、ポットに詰めたコーヒーを飲みながらのドライブがまた楽しく、家では話さないようなテーマやたわいもないおしゃべりのひとときも楽しい時間です。

今日の釣り場はNORTHWEST HARBOR。

360度、海に囲まれて直射日光は激しい……それでも釣りにくると忍耐と解放を同時に感じられて、自然との一体感がたまらないんですよね。
私たちは釣りにくると、釣果があろうとなかろうと3時間は釣りに夢中になります。ヒラメ、タイ、フグ(こちらのふぐは毒がありません)など、魚によって食いつき方が違うんですけれど、私もやっと手応えで何の魚かわかるようになってきて、それがまた楽しいんです!

ところで皆さん、魚の眠っている姿って見たことありますか? 私は初めて見ました! なんだかかわいらしい。

今日の釣果はタイ5匹、フグ1匹、キングフィッシュ1匹。
夫はご満悦で、肩にのしかかった魚の重さも何のその、駐車場までの長い復路も気にせず、2人とも大好きなお刺身のことで頭がいっぱいです。釣りたてのお魚のおいしさたるや、もうたまりません!

釣りの後はシェアクッキングが定番です。
釣れた魚を料理用にさばくのは、もっぱら夫の仕事。手慣れた手つきでサクサク捌いてお刺身にしていきます。
私は冷蔵庫にあるもので玉ねぎとマッシュルームのサラダをつくり、さばきたてのフグをひと塩で焼きます。
キッチンに一緒に立つのは釣りの後ぐらいなので、これもまた楽しいコミュニケーションなのです。

夕食は、夫作のタイのお刺身、私作のフグ焼き、サラダ、同居中の義理の母からのお料理のおすそ分け。ワインを開けて、いざ豪華ディナー♪

我が家は2人とも映画好きで、美味しいお料理をいただきながら映画鑑賞をします。その間も、今日の釣りの様子を思い出しながら、つらつらと話が進む……、この時間、なんだかとっても好きです。

ニューヨークの生活は、家賃や食材など値上がりラッシュで頭の痛いことも多いのですが、いたって普通。特別なことがなくても、毎日何気ない喜びはそこここに見出せるし、考え方一つで楽しみ方は幾通りもあるのかなって。それを見つけていく作業もまた楽しいです。
仕事でひたすら走ってきたときがあるからこそ、こんな時間と意識が自分にとっていかに大切であるかを痛感します。
「想定外のご縁に添いながら、面白がって生きていく」
これが一番です!


平野顕子さん

平野顕子

料理研究家、スイーツ店「松之助」オーナー
京都の能装束織元の家に生まれる。47歳でアメリカ・東コネチカット州立大学に留学。17世紀から伝わるアメリカ・ニューイングランド地方の伝統的なお菓子作りを学び、帰国後、京都・高倉御池に「Café & Pantry 松之助」、東京・代官山に「MATSUNOSUKE N.Y.」と、アップルパイとアメリカンベーキングの専門店をオープン。京都と東京にはお菓子教室を開校。2010年、京都・西陣にパンケーキハウス「カフェ・ラインベック」をオープン。著書に『アメリカンスタイルのアップルパイ・バイブル』(河出書房新社)、『「松之助」オーナー・平野顕子のやってみはったら! 60歳からのサードライフ』(主婦と生活社)など多数。プライベートではひとまわり以上年下のイーゴさんと再婚し、サードライフを過ごす。

hiranoakiko214

text/Emiko Yashiro(atrio)
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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