モノも心もすっきりしたい! そんな気分のときに観たい映画・番組3選
簡素な暮らしを貫く男の強さ。ヴィム・ヴェンダース×役所広司の名作
『PERFECT DAYS』
役所広司が2023年の第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したことが大きな話題となった作品。監督は、『ベルリン・天使の詩』などで知られるドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースで、東京でトイレ清掃員として働く平山の淡々とした日常をまるでドキュメンタリーのように描いています。
下町の古いアパートに一人で暮らす平山は、朝目覚めると身支度をし、車を運転し、各地のトイレをできぱきと清掃し、仕事を終えると銭湯に行き、夜は本を読んで過ごします。同じような毎日を生きていますが、一日として同じ日はありません。彼の楽しみは、木を見ること。空を見上げ、木漏れ日に目を細め、コンパクトカメラで写真を撮っているのです。
シンプルな暮らしの中に幸せを見出す生き方は、多くの人の憧れでもあります。ただし、平山は、ただ平穏な暮らしをしたいからというよりも、何らかの強い思いがあって、あえてトイレ清掃員をして一人で暮らしていることがわかります。
平山の生き方だけでなく、この映画のつくりそのものが、無駄のない美しさを極めています。セリフは極端に少なく、東京スカイツリーの輝きや川面に映る街の明かり、青空に揺れる木々の葉といった映像は情緒があり、そして平山が車の中で聴いているカセットテープの音楽が彼の人となりを表しています。さすがヴィム・ヴェンダースと役所広司の映画だと思わせられる名作です。
『PERFECT DAYS』
2023年製作
豪華版5枚組BOX【UHD+Blu-ray+DVD】 ¥14,300
通常版Blu-ray【2枚組】 ¥6,380
通常版DVD【2枚組】 ¥5,280
発売元:ビターズ・エンド
販売元:TCエンタテインメント
発売協力:TCエンタテインメント、スカーレット
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。