お茶の聖人・千利休のふるさと「大阪・堺」でお茶と老舗和菓子をおいしく学ぶ 「【新連載】上方食文化研究會・Wあさこの大人の社会見学 vol.1」
秀吉が名付け親! 堺でしか味わえない幻の甘味「かん袋」のくるみ餅
関西はもとより、全国の和菓子好きがこの甘味をお目当てに堺を訪れるほどの人気を誇る「かん袋」さんのくるみ餅。添加物や保存料などは一切使われておらず、消費期限は当日限りです。それもあって百貨店などの催事には出店されないそうで、当日渡せない人にはお土産にもできない……ということは、このお店にうかがって味わうしかない! というわけ。
まったりとした味わいの餡のレシピは門外不出で、材料をうかがってもご主人はニコニコされるばかり……。実際にいただいてみると、クルミの味はしませんでした。豆の風味がするような? 気になる方は、ぜひ堺へ。
創業は鎌倉時代。えっ。鎌倉時代!? 二度見ならぬ、二度聞きしてしまった当代のご主人は、なんと27代目。和泉屋徳兵衛が和泉屋という商号で御餅司の店を開いたのが始まりだそうです。
「かん袋」は商号で、ご先祖様が豊臣秀吉が大坂城築城の際の工事を手伝い、瓦を紙袋(関西弁で音読すると“かんぶくろ”)のように軽々と屋根の上に投げ上げて運んだために、その腕の強さを称え「以後かん袋と名付けよ」と命じたのが由来だとか。お餅つきで培った筋力がすごかったんでしょうか。
ちなみに、くるみ餅の“くるみ”は、餅を餡で“包む(くるむ)”から来ているそうです。
くるみ餅が現在のような形になったのは、室町時代の中頃だろうとご主人。伝統を守りながらも、時代に合わせてレシピの改良を重ねているそうです。明治時代には、氷が簡単に作れるようになり「氷くるみ餅」を開発。今でも年中大人気で、こちらをオーダーするお客さんの方が多いとのこと。
通常のくるみ餅は、持ち帰りも可能(ですが、消費期限は当日です)。売り切れ御免で、閉店時間より前に売り切れてしまうこともしばしばだそうです。Wあさこは13時ごろに訪れましたが、それほど混雑はしておらず、くるみ餅も氷くるみ餅も無事いただけました。
かん袋について詳しくはこちらから!
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