年末年始に観たい、家族愛に心がじんわりする映画3選
『フェイブルマンズ』©2022 Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.
年末年始は家族揃ってにぎやかに過ごすという人も多いでしょう。あるいは、夫婦だけで、または一人でのんびりと年を越す人もいるかもしれません。いずれにしても、家族について思いを馳せる時期だといえます。そこで今回は、さまざまな形の家族愛を描いた映画をピックアップ。映画とともに、心温まるひとときを。
目次
スピルバーグ監督の少年時代を反映した映画と家族の物語
『フェイブルマンズ』
『E.T.』や『ジュラシック・パーク』などの後世に残る作品を世に送り出してきたスティーヴン・スピルバーグ初の自伝的作品で、自身の原体験をもとに、映画への愛と家族のドラマを描いています。
サミー・フェイブルマン少年(ガブリエル・ラベル)は、初めて映画館を訪れて以来、映画に夢中になり、8ミリカメラを手に家族の休暇や旅行の記録係となり、妹や友人たちを役者にして作品を撮り始めます。そんなサミーをピアニスト志望だった芸術家気質の母ミッツィ(ミシェル・ウィリアムズ)は応援しますが、科学者の父バート(ポール・ダノ)はただの趣味だと考えていました。そんな両親の間で葛藤しながらも、夢を追うサミー。
しかし、思春期になったサミーは、家族を撮ったフィルムを編集しているうちに、母とペニー(セス・ローゲン)のある姿が写り込んでいることを発見します。ペニーとは、父の助手で、フェイブルマン一家とは家族同然の男性です。母の秘密を知ったサミーは苦悩し、一時は撮影を止めてしまうのでした。
サミー少年はスピルバーグ監督が自身を投影したキャラクターですが、サミーが映画人として成長するうえで両親の存在は欠かせないものでした。おしどり夫婦ではなく、わかりあえない夫婦。でも、深い絆があるのです。
スピルバーグ監督は本作の企画を20年以上温め続けていましたが、母が亡くなり、2020年に父が103歳で亡くなった後、ついに撮影を始めたといいます。このときすでに70代半ばになっていた監督ですが、両親の存命中は映画化を躊躇していたといいます。こんなところにも息子として両親を思う優しい気持ちが表れているように感じます。
『フェイブルマンズ』
2022年製作
4K Ultra HD+ブルーレイ ¥7,260
Blu-ray ¥2,075/DVD ¥1,572
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
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構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。