年末年始に観たい、家族愛に心がじんわりする映画3選
シャルロット・ゲンズブールが孤独な少女に寄り添う母を好演
『午前4時にパリの夜は明ける』
1981年のパリ。夫が出ていってしまい、一人でティーンエイジャーの娘と息子を養うことになった専業主婦のエリザベートは、眠れない夜に愛聴している深夜放送のラジオ番組の仕事に就くことに。番組パーソナリティーのヴァンダの信頼を得て少しずつ前に進もうとしていたある日、番組に出演した少女タルラが家出をして外で寝ていると知り、自宅へ招き入れます。
途方に暮れながらも孤独なタルラに寄り添おうとするエリザベートと、タルラに心惹かれていく息子のマチアス。タルラもまた家族というものの温かさを感じ、変化を見せますが……。
エリザベート役をシャルロット・ゲンズブール、エリザベートの人生を変えるヴァンダ役をエマニュエル・ベアールと、80年代から活躍する人気女優の二人が演じているのも魅力的。
特に主演のシャルロットは、母として稼いでいかないといけない必死さと自身の生き方に対する迷いを等身大で演じていて、子どもたちのほうがしっかり者に見えるほど。独立した娘の部屋を訪ねるシーンでは、娘の成長を喜ぶとともに寂しさでいっぱいになる母の表情が印象的。息子とは、どこか恋人同士のような雰囲気もまたリアルに感じられます。
母、息子、娘、他人である少女が“家族”として過ごした優しくて美しい日々が、静かな感動を呼びます。
『午前4時にパリの夜は明ける』
2022年製作
Blu-ray ¥5,280
発売元:ビターズ・エンド
発売協力:スカーレット
販売元:TCエンタテインメント
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構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。