アジアの新たな名作『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』
心揺さぶる熱演が絶賛! 主演ウー・カンレン インタビュー
『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』
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クアラルンプールの最下層の街で、兄弟として成長してきたアバンとアディ。兄アバンは聾唖(ろうあ)というハンディを抱えながら懸命に生き、弟アディは簡単にお金を手に入れるために危険な世界に足を踏み入れています。そんな兄弟を中心に貧困層の人々の暮らしを見つめ、社会の歪みをあぶり出したジン・オング監督の新作映画『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』が、2025年1月31日に日本でも劇場公開されます。
マレーシア・台湾合作の本作はそれぞれの国で大ヒットを記録し、米アカデミー賞の国際長編映画賞にマレーシア代表としてエントリーされました。そんな話題作で兄アバンを演じたのは、台湾の俳優ウー・カンレン。台湾のアカデミー賞(金馬奨)で最優秀主演男優賞を獲得するなど、本作での熱演が絶賛されています。
今回、「おしゃれ手帖web」では、ウー・カンレンにオンラインにてインタビュー。難役に挑戦した思いや撮影秘話をうかがいました。
ウー・カンレンのポートレイト
台湾とマレーシアの手話が違うことを知り焦りました
――マレーシアを舞台にした映画に、台湾の俳優であるカンレンさんが出演した経緯を教えてください。
ウー・カンレン(以下、カンレン):映画でもドラマでも、縁を大事にしています。この映画が撮影に入る1年前に脚本を見せてもらう機会がありました。当時は脚本が未完成でしたし、僕自身も休養期間に入っていたので、そのままになっていました。でも、この脚本のことが心に残っていたので、それなら自分から監督に連絡をとるべきだと思いました。まだチャンスがあれば役に興味があります、と尋ねてみたのです。
――カンレンさんが演じたアバンは、聾唖(ろうあ)という設定です。手話を含めて、役作りで苦労した点はありましたか?
カンレン:役に決まってから、台湾で手話を教わりました。その後、撮影でマレーシア入りしたのですが、そこで初めて、台湾の手話とマレーシアの手話が違うことを知り、ものすごく焦りました。もちろん手話には国際的に共通する手の動きがありますが、言葉と同じで、地域ごとの手の動きもあるんです。さらに、流行り言葉のように、時代によって手話も変わってくるということを教わりました。ですから、今回は、今のマレーシアならではの手話も多く盛り込んでいます。
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。