手ぬぐいで人気の京都の老舗「永楽屋 細辻伊兵衛商店」はまるで宇宙! 伝統柄もレトロモダンもアートでもある手ぬぐいの魅力とは? 「関西コレ、ええやん♡ vol.2」
ピカソ、コクトー、バルビエも! 伝説のバレエ団のためのアートワークが手ぬぐいに
現代バレエの原点と言われる「バレエ・リュス」と「バレエ・スエドワ」。知る人ぞ知る2つのバレエ団のオーナーはいずれも大金持ちだったそうで、当時最高峰のアーティストたちに衣装デザインや公演パンフレットのためのアートワークをオーダーしていたんだとか。個性的なルックスで京都では知らない人はいない(と私は思っている)14世・細辻伊兵衛さんにその魅力を伺いました。
伊兵衛さん:舞踊史研究家の芳賀直子(はがなおこ)先生から、これまでに収集したコレクションを多くの方に知ってもらいたいとご相談を受けたのがきっかけとなり、バレエ・リュスとバレエ・スエドワの存在を知りました。パブロ・ピカソやジャン・コクトー、ジョルジュ・バルビエ、マリー・ローランサン、藤田嗣治(ふじたつぐはる)など錚々(そうそう)たる芸術家たちのアートワークを、私たちが培ってきた日本伝統の技術で手ぬぐいに仕立てたのが、《Diaghilev & Maré(ディアギレフ&マレ)》のバレエ・テヌグイです。商品にはできていませんが、ココ・シャネルもバレエ・リュス作品に関わっているんですよ。
伊兵衛さん:バレエ・リュスとバレエ・スエドワの現存するコレクションの中から、手ぬぐいに適したアートワークを選びぬき、デザイン化しました。特にハードルが高かったのがピカソです。ピカソ財団から商品化権を得ている日本の企業はそう多くないと思います。手ぬぐいにもしばしば登場しているニジンスキーは伝説のバレエダンサーとも言われているそうで、パリで旗揚げされたバレエ・リュスのプリンシパルでした。「月の光」などで知られる作曲家・ドビュッシーも彼とバレエ・リュスのためにいくつかの楽曲を書き下ろしています。
す、すごい。ときどき日本のKバレエ、ロシアではボリショイ・バレエ、マリインスキー・バレエ、イタリアではローマ歌劇場バレエ団の舞台を観たことがある私でもバレエ・リュスとバレエ・スエドワのことを初めて知ったのですが、今や知らない人がいないような芸術家たちが関わっていたなんて、まさに伝説です。
バレエに詳しい方はもちろん、それぞれのアーティストのファンの方々にもぜひ《Diaghilev&Maré》を知っていただきたい! 美術館で販売されている名画のジクレー印刷さながらの美しさと、永楽屋さんならではのデザインセンスが詰まったコレクションは、もはや芸術品です。
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