「モダン」なアート体験
-年代・国を超えた実験的な試みをアート展で体感!
ル・コルビュジエをはじめとする著名な建築家が機能や快適性を追求して設計した「戸建て住宅」。
その実験的なヴィジョンと革新的なアイデアは、今の住まいについて考えるヒントにもなりそうです。
本展覧会は、今からちょうど100年ほど前に始まった、住宅をめぐる実験的な試みをご紹介することから始まります。
ル・コルビュジエ(1887〜1965年)やミース・ファン・デル・ローエ(1886〜1969年)など多くの建築家が、当時の新たな技術を用いて、機能的で快適な住まいを探求したのです。
その革新的なアイデアは、後代の建築家にも引き継がれ、やがて私たちの暮らしを大きく変えていきました。
本展覧会では、20世紀の実験的なヴィジョンに基づく住宅を、衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、ランドスケープという、モダン・ハウスを特徴づける7つの観点から再考します。
急速な都市化に伴う感染症の脅威から身を守るために衛生設備が充実し、大きなガラス窓によって、通風や採光が容易になっただけではなく、窓の外のランドスケープを暮らしに取り込むことも可能になりました。
またガラスのほか、スチールやコンクリートなどの新しい素材が住宅の材料となり、核家族の普及にともなう住宅の量産にも寄与しました。
システム・キッチンの登場にもうかがえるように、モダンな住宅や設備は、家事労働を軽減し、女性の社会的な役割の変化にも対応しています。
特に力を入れてご紹介する傑作14邸を中心に、写真や図面、スケッチ、模型、家具、テキスタイル、食器、雑誌、映像やグラフィックを通じて、20世紀の住まいの実験を多角的に検証するこの展覧会が、今の私たちの暮らしを見つめ直す機会になれば幸いです。
トップ掲載作品:フランク・ゲーリー フランク&ベルタ・ゲーリー邸 1978年Ⓒ Frank O. Gehry. Getty Research Institute,Los Angeles(2017.M.66)
教えてくれたのは・・・
国立新美術館
学芸課長
長屋光枝さん
専門はドイツ近現代美術史。担当した主な展覧会に『大巻伸嗣 Interfaceof Being 真空のゆらぎ』(2023年)、『ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション』(2022 年)がある。
『リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s』
場所: 国立新美術館(東京都)
開催: 3月19日(水)〜6月30日(月)
開館 : 10:00〜18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで
※入館は閉館の30分前まで
閉館 :火曜日
※ただし4月29日(火・祝)、5月6日(火・祝)は開場、5月7日(水)は休館
050-5541-8600(ハローダイヤル)
Ⓒ 国立新美術館
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