【研ナオコさんインタビュー】「歌も演技も、一度も満足したことはありません」
道は間単に見つからないからいい
強い吸引力を持つ歌声、一瞬で世界観を構築する歌唱力。歌い手としての研さんについても伺いました。
「歌と演技にはどこか共通点があります。俳優の場合、脚本を読んだときにセリフが体に入ってこなかったらその役は演じられません。歌も同様に、歌詞が入ってこなかったら歌えない。他の人には合っても、私には合わないということもあると思うんです。音程を外さない人はたくさんいると思います。良い声が出るとか、高い声や低い声が出る人も。でもそれが『歌が上手い』ことかというと、そうではない気がするのです。聴いてくださる人の心になかなか留まってくれない。歌詞がテロップとして流れないと歌詞を理解していただけないのでは、それはただの音楽で、歌とは言えないと思うんです。歌い手さん、シンガーっていうのは音楽に載せて言葉を届けるのが仕事なんです」
研さんはどのようにしてシンガーとしての腕を磨いてきたのでしょうか。
「たくさん歌えば上手くなる、ということでもないと思うんです。どうすれば良くなるのか? それがわかればね……。でもそれも良し悪し。近道が見つかれば手っ取り早くそこにたどり着けるかもしれないけど、簡単に見つからないから良いんじゃないですか。近道がいいという人もいるでしょうけど、私はコツコツやっていくのが好きですね」
歌詞を消化し、表現してそれを聴き直し、また録り直す……。その繰り返しだと研さん。歌い手としての道をコツコツと、ひたすらに歩んでいます。
「歌い手としてのピークがいつくるか、何回来るかなんて誰にもわからない。死ぬまでそんな風にやり続けるのだと思います。そして死ぬ瞬間にこうやって(下あごを出して)、志村(けん)さんのようにしゃくれて死のうかなと思って。人生の最期に笑いを取る? そう、え~ん! と悲しまれるより、喜んでもらえたらいい。そんなことを思っています」
PROFILE
研ナオコ(けん・なおこ)
1953年生まれ、静岡県伊豆市出身。1971年、歌手デビュー。日本レコード大賞金賞を受賞した「かもめはかもめ」をはじめ多くのヒット曲を世に送り出す。1975年から10年間、『カックラキン大放送‼』にレギュラー出演する等、テレビタレントとしても活躍。2020年にYouTubeチャンネル「研ナオコNaoko Ken」を開設した。俳優として『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(NHK総合)等に出演。2025年はデビュー55周年。記念アルバム『今からあなたと…Starting today, with you』を発売。2025年9月まで、梅沢富美男劇団特別公演『梅沢富美男&研ナオコ アッ!とおどろく夢芝居』 に出演中。
映画『うぉっしゅ』
●監督・脚本:岡﨑育之介
●出演:中尾有伽、研ナオコ ほか
●配給:NAKACHIKA PICTURES)
●公開日:5月2日(金)新宿ピカデリー/シネスイッチ銀座 他全国公開
©役式
撮影/本多晃子 ヘアメイク/堀ちほ 取材・文/浅見祥子
この記事を書いた人
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