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大人のおしゃれ手帖 6月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2025年6月号

2025年5月7日(水)発売
特別価格:1540円(税込)
表紙の人:木村佳乃さん

2025年6月号

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【50代のリノベーション】マンション住み替え体験記
~キッチン、水まわりの設備と見積もり~vol.5

田中絵真

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子どもが一人暮らしすることをきっかけに、20年住んだマンションの住み替え&リノベーションを考えた、50代夫婦の私たち。内装はボロボロの築古マンションをついに購入し、すべて壊して作り変えるスケルトンリノベーションのプランが始動。1LDK(リビングに小上がり付き)の間取りも固まりました。今回は設備選びと内装にかかる見積もりについてです。

はじめにキッチンありき! バス、トイレ、洗面はシンプルに

さて、ようやく間取りが決まったマンション(詳しくはvol.4を)ですが、これだけではまだ見積もりは出ません。キッチン、バス、トイレなど大型の設備や床材なども決めなくてはいけないからです。

キッチンは、どのメーカーにするかマンションを買う前から決めていました。それが「グラフテクト」です。グラフテクトは、オーダーキッチンメーカー「キッチンハウス」のセカンドライン。キッチンハウスと同じ素材を使いつつ、オプションなどを絞ってお買い得にしたライン…という感じでしょうか。見た目がすっきりしていてかっこいいのと、レイアウトやカラーバリエーションの豊富さが特徴。

私が気に入ったべトングレーという黒に近いグレーです(べトングレーが人気なので、大手メーカーから同じようなカラーが出ていますが、お高い……)。使い始めてから実感していますが、汚れも目立ちにくくてお気に入りです。このキッチンが映えるように、インテリアを考えたといっても過言ではない。

グラフテクトのショールームにて。石のような模様のあるグレーがかっこいい

背面収納の面材も選べます。本物そっくりの木の凹凸ですが、エバルトという樹脂です。

グラフテクトは大手メーカーの高級ラインに比べるとお手頃ですが、それなりのお値段がしますので、キッチン以外はなるべく価格をおさえました。

まずは浴室。ショールームに行くとおしゃれなバスルームがたくさんあって目移りしますが、マンションリノベーションに対応しているものは、サイズ的にも実は少ないです。選んだのはリクシルのリノビオP。アクセントウォール(一面だけ壁の色を変える)もいいなと思ったのですが、それだけで価格が上るのでオール白。ちなみに、最近のユニットバスの壁はマグネットがつくので鏡やカウンターはなしにして、あとでマグネット式のものを付けることにしました。

ショールームのミニチュアで、バスルームのカラープランをシミュレーション。

実際のバスルーム。こちらも床だけは汚れが目立ちにくいグレー。

トイレはリクシルのプレアレスLSというタンク有のタイプ……のはずだったのですが、引っ越してみたら、サティスSというタンクレストイレ(おしゃれ&価格も高い)がついていました! なんと発注ミスだったようですが、そのままでいいことになりありがたく使わせてもらっています。

自動洗浄付きで、上品なたたずまいのサティス様……

サニタリー関連は、夫婦でショールームに行って、便座に座ったり湯船に入ってみたり、いろいろ確認して選びました。ショールームは自分たちで予約してもいいですし、リノベーション会社から連絡してもらうパターンもありました。

洗面台は最初は廊下に置く案もありましたが、洗面脱衣室をつくることになったのでシンプルなデザインを選びました。アイカオーダー洗面台というボウルと洗面台が一体になったもの。こちらも、キッチンと同じくグレー系(汚れは目だないけど、洗面ボウルが思ったより浅かったです。我が家は問題ないですが、子どもが小さい場合は要注意かも。いろいろプランはあると思います)。

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無垢っぽい肌触りで温かい「挽板フローリング」

続いて、床材です。フローリングのメーカーは、リノベーション会社おすすめのメーカー「and wood(アンドウッド)」のカタログから選びました。

以前住んでいたマンションの床は、シートフローリング&ウレタン塗装(ベースの上に木目のシートを貼ったもので、分譲でも賃貸でもよく使われている。少しつやっとした見た目のもの)。これはメンテナンス性がいいといわれていますが、傷がつくと黒く目立ちやすいです(子育てしているとかなりの傷が……)。真冬に裸足でおりると「ヒャッ!」と言いたくなる冷たさで、冬場はリビングの床暖房はつけっぱなしでした。

リノベーションするならやはり天然木の感触!ということで選んだのが、挽板(ひきいた)フローリング。「厚さ2~4mmの単板をフローリングの表層に用いたフローリング」(and woodHPより)とのことで、見た目や肌触りは無垢のフローリングと同じ。無垢板と比べて伸び縮みがないので、扱いやすいのが特徴だそうです。幅はやや太めの120㎜、自然な見た目のオイル塗装にしました。

オーク プライウッド オイル塗装という製品。その中でも節や色むらの多いグレードですが、木っぽくて好き。

素材はオーク。価格が抑えられるのと、引っ越し先に持っていくテーブルサイドボードが、ナラ材(オークに近い木種)だったからです。節がけっこう目立ちますが、ナチュラルな雰囲気で汚れが目立たないので気に入っています。

クッションフロアより丈夫な、長尺シート

本来ならば、水回り以外はすべてフローリングにしたいところですが、我が家はリビングの大部分(キッチン周りはフロアタイル)と廊下のみにしました。フローリングは材料費以外にも、施工代がかかるからです……。
寝室と洗面トイレは「クッションフロア(賃貸物件のトイレなどに多いビニールシート)でいいのでは?」と思っていました。しかし、クッションフロアは重いものを置くとへこんでしまうため、ベッドを置く寝室には不向きだそう。ご提案いただいたのが、長尺シートというもの。これはビルや商業施設にも使われる土足対応のシートです。耐久性も高いそう。

洗面所の床。写真はグレーっぽいですが、薄いブルー。クッションフロアよりは少し硬めの感触です。

こちら最初は単色のものを提案されたのですが、夫は「病院みたいでいやだ」というし、私は「ほこりが目立ちそう」という意見で、淡く模様の入ったものを選びました(単色のシートはかっこいいインテリアになると思います)

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壁はハウススタジオのように「塗装壁」に!

残りは壁です。壁は塗装にしたいというのは当初からの希望。おしゃれな壁紙もあるのになぜ塗装?と思われるかもしれませんが、これは私の仕事が少し関係しています。

雑誌の撮影は、ハウススタジオ(自然光が入る、住宅の内装に似せたスタジオ)で行われることが多いです。ハウススタジオのインテリアはいろいろですが、壁はほぼ100%白い塗装です。壁紙が使われないのは、おそらく継ぎ目が撮影の邪魔になったり、汚れたときの張り替えが大変だからでしょう(塗装は一部塗り直しやすい)。

ただ、リノベーションで塗装するとなると、下地を調整したり専門の業者が入ったりと、壁紙より手間もコストもかかる(らしい)。リノベーション会社によっては、あまり積極的に勧めないようで、不動産会社の見積もりでは「いくらかかるかわからない」と渋い反応でした。

仕事でハウススタジオに行くたびに、こういう家に住みたい!と思ったのがモチベーションのひとつになっていたので、塗装壁は譲れない条件でした。珪藻土や漆喰でなくてもOK、水性塗料でいいので塗装にしたかったのです。

幸い、リノベーション会社の担当は塗装も慣れている方で、問題なし。結局、コストを抑えるために塗装はリビングのみで、廊下や寝室はおすすめされた「塗装っぽい風合いの壁紙」を採用することで落ち着きました(いずれ張り替えるタイミングが着たら、塗装したいですが……)

これが塗装の壁。自然光が当たると陰影がキレイだなと感じます。

こちらは壁紙。廊下はあまり光も入らないし、違いは気になりません。

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ついに見積もりが……やはり予算はオーバー!

まだまだ細かく決めなければいけないものはいろいろあったのですが、いったん内装関連の見積もりを出してもらうことになりました。最初の段階から、譲れない部分以外はコストを意識して選んだつもり。けっこういい感じの数字が出てくるんじゃ……と期待していました。

出てきた数字は…おお…16,328,030円‥‥。

我が家の予算は1500万だったので、およそ130万円のオーバーです。

見積もりはずらーッと品目や費用名が並んでいて、何にいくらかかっているかわかる明朗会計。打ち合わせたものと違うものになっていないか、こちらもチェックします。

こここでざっくりリノベーションにはどんな費用がかかるか、見積もりと一緒に見ていきましょう(2024年前半のスケルトン工事の一例です。現在はもっと費用が高くなっている可能性があります)。

●仮設工事費…工事のために必要な養生と、もともとの内装の解体処分費。約75万円
●解体工事費…基本の解体工事のほか、キッチン解体ごとパーツごとの解体費も。約100万円
●給排水、ユニットバス設備工事…給排水管の施工、ユニットバスの料金も含む。約125万円
●ガス・空調・設備工事…ガスの配管や設備費用、給湯器交換台含む 約46万円
●配線・電気工事費…基本の配線やスイッチ、コンセント配線など 約114万円
●大工工事 壁や床の下地作り、フローリングの材料費と施工費など 約270万円
●家具工事 キッチン代、造作小上がり代、可動棚や固定棚の費用 約280万円
●設備機器代 レンジフード、洗面水栓、トイレなど 約46万円
●建具工事 小上がりの仕切りトビラ、リビングやトイレのドア 58万円
●左官工事 玄関のモルタル仕上げ代 6万円
●仕上げ工事代 LDKの塗装、建具や家具の塗装、長尺シートの施工代 約96万円
●防災工事代 非常ボタン移設など 約5万円
●その他工事 網戸張替、コーキングなど 7万円
●現場管理費 約124万円

通常はこのほかに設計費がかかるはずなのですが、不動産会社と提携したプランなので無料にしていただいた気がします(詳細は忘れてしまいました。すいません)。

お、まあまあいい線言ってるじゃん?という気持ちだったのですが、夫は100万以上オーバーなんてダメ、というスタンス。あれあれ……。

次回は、いざ減額のためのアイデアと、解体までです。


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田中絵真

フリーライター 田中絵真

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暮らしまわり、ヘルスケアの記事を多く執筆。

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