【今見るべきアート展】「超 国宝」に眼福!
行くべき美術館3選
優美な姿で知られる法隆寺の「百済観音」をはじめ、貴重な仏教・神道美術が一堂に会する「超 国宝」展。
国宝を生み出した先人たちに思いを馳せ、文化の継承について考える貴重な機会となりそうです。
奈良国立博物館(奈良博)は明治二十八年(一八九五)に開館して以来、令和七年(二〇二五)をもって一三〇周年を迎えます。これを記念し、このたび奈良博ではこれまでで最大規模となる国宝展を開催します。
本展は、仏教美術及び奈良を中心とした文化財を中心に活動してきた奈良博一三〇年の歴史や過去の展覧会を視野に入れて展示を構成しました。
「超 国宝─祈りのかがやき─」というタイトルは、仏教・神道美術という人々の「祈り」が生み出した造形が、「かがやき」のように過去から未来へと継承されていくということと、文化財の調査研究と保護の一端を担ってきた奈良博一三〇年の軌跡を重ね合わせたものです。
今回この展覧会に出陳される法隆寺の百済観音像は、開館からまもなくの明治時代から昭和初期にかけて奈良博に展示されていた重要な一体です。高さ約2mの像ですが、この像のような細身の姿の観音像は、他に例を見ません。
神秘の微笑みを浮かべ右手を差し出す姿は優美かつ繊細で、その崇高で立ちのぼるような姿は、ともしびを思わせます。
展覧会では、奈良博にゆかりのある仏像をはじめ、奈良博の開催してきた展覧会のテーマや初期の奈良博の展示品を中心に構成しております。
本展では、「超」という言葉に、時代を「超えて」遺されてきた国の宝を、時代を「超えて」伝えていこうという意味も込めました。
この展覧会を通じて文化財を将来に伝えることの意義を感じていただければ幸いです。
トップ掲載写真:国宝 観音菩薩立像(百済観音)飛鳥時代・7世紀 奈良・法隆寺
教えてくれたのは・・・
奈良国立博物館
岩井共二さん
奈良国立博物館学芸部企画課教育室長。専門は仏教彫刻史。仏像の着衣形式に着目して東アジアの仏像の様式変遷を研究。仏像コスプレのワークショップも開催している。
奈良国立博物館開館130 年記念
特別展『超 国宝―祈りのかがやき―』
場所: 奈良国立博物館 東・西新館(奈良県)
開催:開催中〜6月15日(日)
開館 :9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
閉館 :月曜日、5月7日(水)
050-5542-8600(ハローダイヤル)
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