【50代のこよみ養生 Vol.30】精神的な疲れ、情緒不安定……初夏のメンタルをケアする薬膳・ツボ
メンタルの不調別・心の働きを助ける薬膳&生活養生
ここからは、心との関わりが考えられるメンタルの不調別に、養生法をご紹介していきます。
◉精神的な疲れ、無力感、ぼんやりする
心気(しんき=心のエネルギー)が不足している可能性があるので、心気を補う養生を行いましょう。心気とは心臓や血管を活動させるエネルギーで、不足すると身体面では動悸、息切れ、動いていなくても汗が出るなどの症状が見られ、精神面では上記の不調のほかに不眠などが現れやすくなります。
心気が不足するのは、虚弱体質や慢性的な病気、老化などのほかに、考えすぎや思い込みすぎなども原因に。がんばりすぎたりものごとに真面目にとり組みすぎていたりすると、心気が不足しやすくなるので、適度に息抜きをすることを意識してください。こまめに深呼吸をすることも、心気の補給になります。
食事面では、なつめ、はちみつ、鶏肉、牛肉、牛乳などが心気不足の予防や改善に役立ちます。
◉もの忘れ、驚きやすい、記憶力・集中力の低下
心血(しんけつ=心臓と血管をめぐる血液)が不足している可能性があります。心血は脳や精神の栄養源となるものなので、不足すると脳の働きが低下したり精神が不安定になったりして、上記の症状や、不眠、夢を多く見るなどの不調が現れやすくなります。そのほか身体面では、動悸、めまいなどが見られるようになります。
心血の不足は、虚弱体質や慢性的な病気などのほかに、胃腸が弱っているために栄養を吸収する力が低下していることや、ストレスによる血の消耗などが主な原因。胃腸の調子を整えるために規則正しい食生活を意識し、特に冷たいもの・甘いもの・脂っこいものなどは控えめにしましょう。また夜はゆったり過ごして休息し、睡眠をしっかりとることも心血の不足を防ぐために大切です。
そして食事面では、にんじん、ほうれん草、レーズン、黒ごま、たまご、ハツなどの食材を積極的にとり入れるといいでしょう。
◉落ち着かない、笑いが止まらない
心陰(しんいん=心臓や血管の水分・潤い)が不足している可能性があります。心陰が不足すると精神が高ぶりやすくなるため、落ち着かない、笑いが止まらなくなる、不眠、夢を多く見るなどの不調が現れる場合が。身体面では動悸、胸苦しさ、ほてり、寝汗などがよく見られます。
心陰不足の主な原因は、慢性的な病気のほかに、考えすぎや神経の使いすぎ、夜遅くまで活動している、夜に運動している、お酒の飲みすぎなど。夜はできるだけ活動を控えてのんびり過ごし、日付が変わる前に就寝しましょう。お酒も控えめに。
心陰を補う食材には、アスパラガス、たまご、牛乳、かき、緑茶、クコの実などがあります。
◉イライラする、混乱しやすい
心に余分な熱がたまっている可能性があります。長期的なストレス、辛いもの・脂っこいもの・味の濃いものの食べすぎ、お酒の飲みすぎ、喫煙、強壮剤の飲みすぎなどが原因で心に熱がこもり、上記のような精神的症状や不眠、ひどくなると興奮して騒いで落ち着かない、怒りっぽくなるなどの症状が現れる場合があります。身体面では顔が赤くなる、のどがよく渇く、胸苦しい、体の熱感、便秘、できもの、口内炎などが現れやすくなります。原因となる食生活を見直し、熱を発散するために適度に運動をして汗をかくと改善につながります。
食事面では、心の熱を冷ます小麦、にがうり、キュウリ、トマト、すいか、緑茶や、体内の余分な水分とともに熱を排出するあずき、はと麦などをよくとるといいでしょう。
この記事を書いた人
国際中医師・国際薬膳師・東洋医学ライターTSUBO
健康雑誌編集部員をへて独立し、以後、健康や美容に関する雑誌・書籍・WEBの企画・編集・執筆を数多く手掛ける。現在は主に東洋医学による予防医学や、東洋医学から見た自然と人体のつながりについて執筆活動中。
Twitter:@MomoOtsubo
Website:https://toyoigaku-shizen.com/
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