【医師監修】50代から気をつけたい女性の病気・がん
多忙を理由に、自分のことは後回しにしがちな50代女性。
その裏で、病気のリスクが上がりつつあるのも事実です。
これから気をつけたい病気について、人数や割合の数字からひもときました。
お話を伺ったのは・・・
桜ウィメンズクリニック院長
布田孝代先生
婦人科医。クリニックでは婦人科、乳腺外科、内科で、女性の健康管理をまるごとサポート。問診を丁寧に行い、さまざまな角度から症状の原因を探って解決を目指す。https://sakura-w.jp
50歳からは要注意!変化に気づいたら即受診を
日本の女性のがん罹患率の調査(2020年)では、上位5つに女性特有の乳がんと子宮がんが入ります。「どちらも年々増え続けていて、特に50代は乳がん、子宮がんともにがん発症のピークの年齢になります。
月経の有無や出産経験の有無などとは関係ないことも多く、『自分は大丈夫』という思い込みは禁物です」と布田孝代先生。
「乳がんは、乳腺の組織にできるがん。罹患数はいちばん多いのですが、きちんと治療を受ければ生存率も高い病気です。子宮体がんは、子宮の中にある子宮内膜のがんです。ホルモンの影響を受けるため、ホルモンバランスが不安定となる50歳以降は要注意です。
子宮頚がんは、性行為によるヒトパピローマウイルスへの感染が原因。感染=がんではないのですが、感染してから長い年数を経てがんが発症することもあります。
卵巣がんは、50歳以降、閉経後に増えてくるがんです。閉経後なら安心ということはありません」
どんな病気も同じですが、がんは特に早期発見が鍵となります。受診のきっかけとなった症状は、例えば子宮体がんの場合、不正出血が93%で最も多く、次いで下腹部の痛み・膨満感(21%)、おりものの異常(17%)だったとする調査があります(アストラゼネカ患者調査)。
「長期間、月経不順を放置すると子宮体がんのリスクとなります。もし不正出血や月経不順があるなら、『更年期だから』と自己判断で決めつけず、きちんと受診していただくことが大切です。また、病気であっても自覚症状がないこともあるので、定期的な検診を受けてくださいね。
乳がんは自己検診も大切です。お風呂で体を洗うついでに、わきの下と乳房全体を触ってみてください。普段から習慣づけていれば、変化に早く気がつけます」
ただ、婦人科検診で異常が見つかった、もしくは自覚症状があってから受診するまでの期間は1か月以上が51%だったとする調査結果も(アストラゼネカ患者調査)。
「婦人科って行くのに勇気が必要ですよね。でも、そんな不安を取り除くことが医師の仕事。病気が隠れている場合もあるので、『こんなことで病院にかかっていいのかな』と思わずに、気軽に来院していただきたいです」
こんな症状ありませんか?
☑︎ 月経が不順
☑︎ 月経痛がひどい
☑︎ 月経周期が短くなってきた
☑︎ 月経過多
☑︎ ひどい腹痛に襲われたことがある
☑︎ いつもの月経と違う
☑︎ 不正出血
上記、ひとつでも当てはまる人は、婦人科系トラブルの可能性も。
月経痛やお腹の痛み、違和感など
気になる症状に隠れているかも……
子宮筋腫
子宮にできる良性腫瘍。筋腫の場所によっては、出血量が増えて健診で貧血を指摘されることが。また、大きくなると、お腹に張りが出てくることも。
子宮内膜症
月経で剥がれ落ちる子宮内膜の組織が、お腹の別の場所で増えてしまう病気。月経の度に炎症を起こし、月経痛がひどくなる。まわりの臓器と癒着することも。
卵巣のう腫
卵巣に水や粘液、血液などがたまり、風船のように腫れてしまう良性の病気。無症状の場合も多く、気がつかない間に大きくなっていることもある。
チョコレートのう腫
卵巣に起こる子宮内膜症。内膜症により、卵巣の中に古い(チョコレート色に見える)血液がたまって腫れてくる。良性の病気だが、ときにがん化することも。