【50代のこよみ養生 Vol.37】今しかできない! 真夏に行う冬のための養生「冬病夏治(とうびょうかち)」とは?
7月20日は「初伏(しょふく)」と呼ばれる日。この日は、夏の暑さが厳しくなる「三伏(さんぷく)」のうちの1日で、初伏のほか、中伏(ちゅうふく)、末伏(まっぷく)という3つの日があります。今回はこの真夏の三伏の時期にしか行えない、冬のための養生についてご紹介します。冬に体調が悪くなりやすい人は必見です。
中国では広く行われている「冬病夏治(とうびょうかち)」の養生
みなさんは「冬病夏治(とうびょうかち)」という言葉をご存知でしょうか?
文字通り「冬の病は夏に治す」という意味で、冷え・かぜをよくひく・せき・下痢・こり・関節痛などの冬の寒さによって起こる不調は、夏にしっかり養生すると起こりにくくなるという東洋医学の考え方を表しています。東洋医学の本場中国では、この冬病夏治の考えにもとづく夏の養生がポピュラーな習慣となっています。
では、「夏にしっかり養生する」とは具体的になにをするのかと言うと、この場合は「太陽のエネルギーをしっかり吸収すること」。いや、この酷暑のさなかにこれ以上太陽のエネルギーを吸収するなんてありえない!⋯⋯きっとそう思われた人も多いでしょう。
もちろん、真夏のこの時期に「日光をたっぷり浴びましょう」などとは決して申しません。太陽のエネルギーを吸収する方法とは、必ずしも日光を浴びることだけではないのです。
そもそもなぜ、体内に熱がたまりやすい夏の時期に「太陽のエネルギーを吸収すること」が養生となるのでしょうか。
太陽のエネルギーは、体内に吸収されると「陽気」として働きます。陽気とは熱エネルギーであり、体を温めて血液や水分をめぐらせ、筋肉や関節をやわらかくして動きをよくし、諸臓器の活動を高める原動力。私たちは太陽から降り注ぐ日光を浴びることで陽気を吸収するほか、光合成で成長した植物(野菜など)や、その植物を食べて成長した肉類や魚類などを食べることでも、間接的に陽気を吸収しています。
この陽気が自然界に最も多く増えるのが夏。特に7〜8月は陽気があふれています。一方、陽気が最も少なくなるのが冬。気象庁のHPによれば、昨年12月の全天日射量(地表に降り注ぐ日光の量)は、同年7月の56%となっていました。つまり、冬の陽気は夏の約半分。当然、体内の陽気も不足しやすくなります。陽気が不足すると体が冷え、血液や水分のめぐりが悪くなり、筋肉や関節が固くなり、諸臓器の活動が低下してしまうことに。この陽気が半減する冬を乗り切るためには、春や夏にたっぷりと陽気を吸収して蓄えておくことが必要なのです。
特に、前述した冬の不調が多く見られる人や、夏でも手足の冷えが気になる人は、陽気がかなり不足しているかも。1年で最も陽気が多い今の時期しかできない冬病夏治の養生を、ぜひ行ってみてください。
この記事を書いた人
国際中医師・国際薬膳師・東洋医学ライターTSUBO
健康雑誌編集部員をへて独立し、以後、健康や美容に関する雑誌・書籍・WEBの企画・編集・執筆を数多く手掛ける。現在は主に東洋医学による予防医学や、東洋医学から見た自然と人体のつながりについて執筆活動中。
Twitter:@MomoOtsubo
Website:https://toyoigaku-shizen.com/
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