【50代のこよみ養生 Vol.45】ほてり・不眠・気分の落ち込みなどをケアする“秋の夜長養生”
もの悲しくなる秋の夜は「肺」の養生をしよう
秋はもの悲しくなる季節でもあります。東洋医学でも秋は「悲」の感情が強くなる季節とされていて、その悲の感情は五臓の「肺」と深く結びついていると考えられています。悲しい感情と肺に関係があるなんて、意外に思われるかもしれませんね。
例えば、ため息が多くなる、胸がつかえる、呼吸が浅くなる、声が小さくなる、涙もろくなるといった悲しいときに起こる体の変化は、肺が弱くなっているサインでもあります。確かに、呼吸や胸が関係するものが多いですね。ちなみに涙もろくなるのは、東洋医学では肺が水分代謝にも関わると考えられており、肺が弱くなるとその水分代謝が乱れるために起こる反応だと考えられます。このように肺と悲の感情はつながっており、秋は乾燥しているために肺が弱くなりやすく、肺が弱くなると悲しい気分になりやすいのです。
こうしたサインが現れたり実際に悲しい気分になったりしたときは、秋の夜長に肺の養生をしてみましょう。肺をいたわることで悲しい気持ちがやわらぐという、体とこころの不思議なつながりを実感できるかもしれません。
まずは、夜がはじまる直前の夕暮れどきに散歩をしてみてください。歩くことで肺の呼吸が活発になって気(き=エネルギー)のめぐりがよくなるほか、オレンジ色の夕日を浴びながらの散歩は心身をリラックスさせ、日中の緊張感をほぐしてくれます。
夜のリラックスタイムは、百合根(ゆりね)の薬膳茶でくつろぎましょう。百合根は肺に潤いを補う食材で、秋の乾燥から肺を守ります。また、精神を安定させる性質もあり、強いいらだちや気分の落ち込みなどをやわらげます。乾燥した百合根が市販されているので、煎じてお茶にして飲んでみて。はちみつを加えたり、くこの実やなつめをブレンドするのもおすすめです。
また、寝る前には吐く息を意識した深呼吸を行うのもいいでしょう。3秒息を吸って、6~7秒かけて息を吐くというように、吐く息を長くするのがコツで、これを数分間続けると内側に閉じこもった感情が外向きへと解放されやすくなります。
胸を開くストレッチも、肺をリフレッシュして前向きな気分を促します。両手を後ろで組んで肩甲骨を寄せ、胸を開いてストレッチしましょう。吐く息を意識した深呼吸とあわせて行うのも効果的です。
この記事を書いた人
国際中医師・国際薬膳師・東洋医学ライターTSUBO
健康雑誌編集部員をへて独立し、以後、健康や美容に関する雑誌・書籍・WEBの企画・編集・執筆を数多く手掛ける。現在は主に東洋医学による予防医学や、東洋医学から見た自然と人体のつながりについて執筆活動中。
Twitter:@MomoOtsubo
Website:https://toyoigaku-shizen.com/
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