【50代のこよみ養生 Vol.48】かぜ・インフルエンザ・乾燥に負けない肺を作る“秋の朝活養生”
秋が深まり、空気がさわやかになってきました。呼吸が心地いい季節です。
呼吸をつかさどるのは肺ですが、東洋医学では肺を呼吸器としてだけでなく、体の内側と外側の“境目”ととらえています。
例えば、病原菌が体外から体内へと侵入しないよう体表面にバリアを張る免疫力(バリア機能)や、体内の水分が体外に逃げないように保護する皮膚の働きなども、肺の役割。新鮮な空気を吸い古い空気を吐くという呼吸活動も、体の内側と外側の“境目”の働きですね。
秋はそんな肺の働きがさかんな季節で、肺の養生をすることが大切なときです。
そこでこの時期におすすめしたいのが、肺を強くする朝活。これから流行が本格化するかぜやインフルエンザの予防や、皮膚の乾燥予防のためにも、体の内側と外側の“境目”を強くする朝活をぜひ実践してください。
朝の新鮮な空気を吸いながら「肺ストレッチ」をしよう
10月23日〜11月6日は、二十四節気(にじゅうしせっき)の「霜降(そうこう)」。その名の通り「霜が降りはじめる頃」という意味の節気ですが、この時期に霜が降りるのは北国だけで、多くの地域では「空気がぐっと冷え込む頃」という感じでしょうか。
この季節の空気は冷えるだけではなく、水蒸気やちりが少なくなって澄み切ってきます。きれいでおいしい空気を味わえる季節とも言えますね。
生物にとって空気は、まさに生命線であり命綱。東洋医学では、肺からとり入れる新鮮な空気を「清気(せいき)」と呼び、重要なエネルギー源ととらえています。秋はこの清気が最も清らかになる季節と言えますが、特に朝の清気はきれいで新鮮。朝日を浴びた草木が光合成をしはじめ、新鮮な酸素が満ちてくるときです。秋の朝の空気はきれいでおいしくて、肺をとりわけ強くする清気があふれていると言えるでしょう。
そこで朝起きたらまず、家じゅうの窓と玄関を開けて室内に新鮮な空気をとり入れてください。家の中にこもった古い空気を、朝の新鮮な空気に入れ替えていきます。この時期は空調なしで窓を開け放つことができ、自然の空気をそのまま部屋にとり入れることができるので、家の中の空気が自然と一体になったかのような心地いいさわやかさを味わえるはずです。
そして、窓辺やバルコニーなどで空を見上げながら、次の「肺ストレッチ」を行いましょう。
◉肺ストレッチ
①空を見上げながら胸を開きます。そのまま両腕を上に伸ばして数回深呼吸しましょう。
②両手を後ろで組み、胸を開きます。そのまま数回深呼吸しましょう。
③両手をほどき、肩甲骨を寄せながら肩をぐるぐると回しましょう。
肺には呼吸の力によって気(き=エネルギー)や水分を全身にめぐらせる働きがあるのですが、この肺ストレッチで肺を開き、朝の清気をたっぷりと吸い込むと、気と水分のめぐりがスムーズになります。肺ストレッチの前に白湯を飲んで肺を温めておくと、さらに効果的です。
この記事を書いた人
国際中医師・国際薬膳師・東洋医学ライターTSUBO
健康雑誌編集部員をへて独立し、以後、健康や美容に関する雑誌・書籍・WEBの企画・編集・執筆を数多く手掛ける。現在は主に東洋医学による予防医学や、東洋医学から見た自然と人体のつながりについて執筆活動中。
Twitter:@MomoOtsubo
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