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大人のおしゃれ手帖 12月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2025年12月号

2025年11月7日(金)発売
特別価格:1640円(税込)
表紙の人:吉瀬美智子さん

2025年12月号

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文化薫る大阪・上本町「錢屋カフヱー」硬めのプリンと自家焙煎の珈琲と&上食研公開サロン【上食研・Wあさこのおいしい社会科見学 vol.11】

ふなつあさこ

奈良時代から大阪の都市部・大阪上本町の食文化

銭屋本舗本館01

「このへんは、『古事記』『日本書紀』にも地名が登場する、歴史ある地域です。大阪は、今は陸になってるところもほとんど海やったんです。奈良時代に難波宮(なにわのみや)が置かれたあたりが半島の先のようになっていて、その少し陸側が、現在の上本町。うちの店のすぐ横を、古代のメインストリート・朱雀大路(すざくおおじ)が通ってたようです」。

文豪・谷崎潤一郎の『細雪(ささめゆき)』は、船場の商家を舞台に昭和10年代の関西の上流階級を描いた小説ですが、主人公の四姉妹の本家がある場所として設定されているのも、上本町です。

銭屋本舗本館02

写真の部屋は、ギャラリーやイベントスペースとしてフリーに使用されているのだそう。

「ここでもさまざまな催しをしていますが、このビルの4Fにある“錢屋サロン”でも、“文化”を幅広く捉えて、食、エクササイズ、ハンドメイドなどジャンルを問わずさまざまな“錢屋塾”を開催しています」と正木さん。上本町エリアの歴史をふまえながら、今を生きる私たちが心豊かに過ごすための幸せな灯のようなコミュニティを目指しているといいます。

銭屋本舗本館03

写真提供:錢屋本舗本館

「僕は生まれも育ちも上六(うえろく。上本町界隈の通称)ですが、本家は明石藩の武士やったようで、大阪に出てきたのは曽祖父の代からです。お煎餅屋さんで奉公に出て、明治43年(1910)に独立して当時の記録で“南区高津三番町”に店を持ったそうです。その後、事業を拡大して、ビスケットなどの焼き菓子工場を構えた頃には“江戸堀将軍”なんて新聞に書かれたりしていたようですよ」

銭屋本舗本館04

写真提供:錢屋本舗本館

「海の玄関口として栄えた大阪は、戦の舞台になったり、埋め立てが行われたりしたこともあって、スクラップ&ビルドが繰り返されてきた街やと思います。このあたりは昔、桃の名所やったらしくて桃丘(ももがおか)と呼ばれていたそうやけど、地名には残ってないんです。神武東征(※)ゆかりの“いくたまさん”(生國魂神社・いくくにたまじんじゃ)は、元々今の大阪城のあたりにあり、築城の際に太閤さんによって、うちの近くへと移されています。せやし、古いものをそのまま残すというよりは、伝統や歴史を大切にしながら、柔軟に形を変えながら発展してきたのが大阪なんやないかと思います

写真は、江戸堀にお店を移した大正時代の初めごろに撮られたもののようです。中央が創業者の正木繫吉さん。創業以来、創業日の11月13日は毎年集合写真を撮影しているそう。

※『古事記』『日本書紀』に神代(神話の時代)に記述されている、日向(ひむか。現在の宮崎県)の神倭伊波礼毘古命(かんやまといわれびこのみこと。別称がいくつかります)が奈良盆地周辺を平定して初代天皇である神武天皇として即位するエピソード。難波津から上陸した際、日本列島の神霊とされる生島神(いくしまのかみ)・足島神(たるしまのかみ)を祭神として祀ったのが、生國魂神社の創建とされているそうです。

浪花百景「増井浮瀬夜の雪」芳瀧/大阪府立図書館

浪花百景「増井浮瀬夜の雪」芳瀧/大阪府立図書館

「お茶屋さんが建ち並んだ江戸時代には、いい料理を出す仕出し屋さんもあったでしょうし、『摂津名所図会』や錦絵に登場する高級料亭「浮瀬(うかむせ)亭」はこのすぐ近くにありました。海に近い大阪は、今日入った魚をお客さんの好みに合わせて料理する、対面オーダーが合っていたのか、割烹文化が広がりました」

プリンを食べながら割烹のお話を伺っているうちに、だしが恋しくなりました。

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編集者 ふなつあさこ

編集者ふなつあさこ

生まれも育ちも東京ながら、幼少の頃より関西(とくに奈良)に憧れ、奈良女子大学に進学。卒業後、宝島社にて編集職に就き『LOVE! 京都』はじめ関西ブランドのムックなどを手がける。2022年、結婚を機に奈良へ“Nターン”。現在はフリーランスの編集者として奈良と東京を行き来しながら働きつつ、ほんのり梵妻業もこなす日々。

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Instagram:@asa_ship

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