料理もドラマも堪能！レストランが舞台の映画＆ドキュメンタリー3選

『至福のレストラン三つ星トロワグロ』© 2023 3 Star LLC. All rights reserved.

　今年もはや12月、一年の締めくくりに、家族や友人との会食を計画している人も多いのではないでしょうか。大切な人々とおいしい料理を囲みながらあたたかい時間を過ごしたい、そんな思いを叶えてくれる舞台のひとつがレストランです。そこで今回は、レストランが舞台の映像作品に注目。三つ星フレンチのドキュメンタリーから、美食革命ヒューマンドラマ、シェフのドタバタコメディまで、多彩な楽しみを味わって！

極上の一皿の秘密に迫る、巨匠によるドキュメンタリー
『至福のレストラン三つ星トロワグロ』

　ミシュラン三つ星に55年間輝き続ける家族経営のフレンチレストラン「トロワグロ」。緑と湖が美しいフランスの村ウーシュにあるその名店では、3代目のミッシェル・トロワグロと長男で4代目のセザール、そしてスタッフたちが日々、食と真剣に向き合っています。

　かつて友人とトロワグロを訪れたアメリカのドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマン監督は、素晴らしい料理ともてなしに感動し、その場で作品を撮らせてほしいとオファー。セザールの許可を得て、本作をつくりあげました。

　新鮮な野菜が並ぶ市場や農園、牧場、チーズ工場へと足を運んで食材を吟味するところからはじまり、メニューを考案して試作を重ね、厨房で細やかな仕込みをし、美しい一皿を仕上げて客に提供するまでのすべての過程をカメラがとらえています。

　BGMも盛り上げる演出も一切ありませんが、そういった力を借りずとも、シェフたちのプロフェッショナルで丁寧な仕事ぶりは見飽きることがなく、目が離せなくなります。日本や日本食から受けた影響についても語られていて、日本人としては嬉しい限り。

　一方、家族経営かつ大勢で働いていれば、さまざまな葛藤や問題があるもの。物価高による苦労もあります。そういった裏側やミーティングの様子も隠すことなく映しています。

　芸術的でおいしそうな料理に目を奪われるのはもちろんのこと、ミッシェルやセザール、そして次男でオーベルジュ「コリーヌ・ド・コロンビエ」の料理長を務めているレオ、スタッフたちの食に対する真摯な思いと生き方に感銘を受ける作品です。