「人間が地球上でいちばん知恵があるならば」
神野三鈴さんエッセイ「だれかのために」
親愛なる皆様
あけまして おめでとうございます。
日常のなかで感じる、小さな「ひとつひとつ」、今年も、そっと受け取っていただけたら幸せです。
一昨年の新年号では、ロシアがウクライナに仕掛けた戦争の終結を願っていた。
そして去年は、戦争が終わるどころか放置されていた人類の宿題が噴き出した。
もう現実に起きていることに目を瞑り、「ご機嫌」に生きることはできない。
これからは政治を身近に語り、自分にできることを日々の暮らしのなかでしていきたいと「祈りと覚悟」をしたためた。
そして2026年の新年。もしかしたら私たちは、もうとっくに予測できない日々を生きているのかもしれない。ならば残された時間のほうが少ない私は、これから未知の世界で、何か新しい経験ややってみたいことをして、心おきなく「時間」を味わいながら生きたいと思う。
そのためには気になることに、もう目を瞑らない。
日常生活のなかで心を痛めている、怒りを感じている問題と向き合わなければ。
まずは災害や野生動物との共生に関わる自然環境だ。子どもの頃から興味を持ちながら、ちょこちょこといろんな活動に参加してはいたが、何十年も前から先人たちが警告していたことがひとつひとつ現実になって、いよいよ抜き差しならない状況になってきた。
人間が地球上でいちばん知恵があるなら、国同士の争いは止めて、今は環境問題に団結しなくちゃいかんだろうとシンプルに思わずにはいられない。
地球に住めなくなったら国の繁栄も何もないのに。しかし真逆の破壊行為が続いている。
絶望的な気持ちになるが、それでも草の根で、自然を再生するために知恵を出し合って活動をしてくれている人たちがいる。時代の進化は悪きことだけではなく、SNSのおかげで情報入手や様々な活動への参加手段も多様化してきた。
山に食料がなくなり、熊が人間の脅威になってしまった現実に、「熊が生息できる森がなくなったら、酸素も水も生まれず、人間などあっという間に生きていられなくなるよ」と言っていたマタギの話を思い出した。
熊は山の水脈を守っている神様でもあると。
その熊を絶滅に追いやるような対処に、私は暗澹たる気持ちになった。
何かできないかと調べて、すべての生物が共生できる世界を目指して森を再生する「日本熊森協会」の会員になった。
自分にできる範囲で、どんなに微力であっても、今何かしなくてはという思いを形にしたことは、自分の精神状態をかなり助けてくれた。
自己満足、焼石に水、なんとでも言いたい人は言えばいい。もちろん行政で大きな成果と法律に守られる世界を目指したいけれど、ただ待っているわけにはいかない。
様々なボランティア活動をしている方々と行動をともにしてきて、今、目の前で助けを求めている命をまず助けなくては大義もないのだと実感している。
動物も人間も、今日一日、まず一日、命を繋げられたら、未来への道が開けるチャンスに出合えるかもしれないのだ。
事実、猫や犬の保護施設、子ども食堂は、たくさんの人の想いで実現してきた。
時間がないけど資金をカンパ、お金は無理だから労働力で、両方無理だけど口コミする……など、自分のできる形で参加すれば、こちらが予期せぬほど、たくさんの人が賛同して、「この世界には同志が沢山いるじゃないか!」と嬉しくなる。
諦めと無力さに支配された心に光が差す。
そして次の世代の人たちがもっといいやり方を見つける希望が出てくるのは、多くの活動が「誰か」が始めてくれた進化系だからだ。
私個人としては、ずっと変わらず「人」を演じ、ある意味「死者の声」を今、生きている人に伝えていくのだろう。夫婦としてはコロナ禍から始めた、若く才能にあふれた音楽家を紹介する試みが発展して、今年、平和を願う仲間とともに、国や人種や性別に左右されずに、素敵な音楽を発信する新しいレーベルを立ち上げた。
言語を超え、人を癒やす力が音楽にはあると思うから。
誰かのために何かのために。
2026年も人を、自分を信じて生きていきたいと思う。微力は無力ではないのだと。
最近、会員になった「日本熊森協会」は、森林や野生動物の保全を行う自然保護団体。
100年先、1000 年先にも子どもたちが豊かに生きていける自然環境を遺すため、全生物と自然との共存をめざしてさまざまな活動をしている。
https://kumamori.org/

活動のお手伝いや、皆さんに会いに行くために旅を計画したりしている。
MISUZU KANNO
神奈川県鎌倉市出身。第47回紀伊國屋演劇賞個人賞、第27回読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞。代表作に舞台『メアリー・ステュアート』『組曲虐殺』、映画『TOKYOタクシー』、ドラマ『あんぱん』など。ドラマ『未来のムスコ』(TBS)が1月13日よりスタート。
この記事を書いた人
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