不器用さをさらけ出して、生きる力に変えていく
”マチュアな魅力”にあふれた女優たちの映画3選

大人のおしゃれ手帖編集部

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人生の岐路に立ちながら、不器用なところもさらけ出して、生きる力に変えていく。
そんなマチュアな魅力にあふれた、女優たちの映画を紹介。

『コール・ジェーン −女性たちの秘密の電話−』

女性の権利のために連帯した女性たちの実話

２人目の子供を妊娠したことで心臓の持病が発覚したジョイ。担当医からは中絶をすすめられるが、時代は60年代。中絶をすることは、法律的に許されていなかった。彼女がたどり着いたのは、違法でも安全な手術を密かに行っている団体、ジェーン。
そこで手術を受けたジョイは、自身もメンバーとして手術に関わるようになる。自分の体のことを自分で決めて、守ることができない。
そんな権利なき時代に闘った女性たちの実話を、『キャロル』の脚本を手がけたフィリス・ナジー監督が映画化。手を携えてお互いをサポートする団体を率いる勇敢なフェミニスト、バージニアをシガニー・ウィバーが演じ、物語に説得力を与えている。
選択肢を増やすために制度を変えていくこと、連帯することの大切さを描き出す力強いエンターテインメント。

監督：フィリス・ナジー
出演：エリザベス・バンクス、シガニー・ウィーバー

新宿ピカデリーほかにて公開中

『アバウト・ライフ　幸せの選択肢』

人生の最終コーナーを過ぎた大人たちの幸せ探しの物語

映画館で出会い、一緒にホテルでチキンを食べながらおしゃべりをしたグレースとサム。不倫と呼ぶにはささやかな時間を過ごしたふたりに対して、モニカとハワードはここ数か月、ホテルで何度か密会をしていた。
そんな４人が、とあるディナーの席で顔を合わせることに。なんとお互いの娘と息子が結婚を考えている相手だったのだ！　親たちは焦りながらも、このピンチをなんとか切り抜けようとする。
人生の最終コーナーを過ぎて思いがけずパートナー同士が向き合う、幸せ探しの物語。変わらぬファッション・スタイルに身を包み聡明さを感じさせるダイアン・キートンと、豪快でさっぱりとした色気を魅せるスーザン・サランドンが共演。
大人だって不器用に、情けなくジタバタしてもいい。軽妙な会話劇で、そんな勇気をくれる１本。

監督：マイケル・ジェイコブス
出演：ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン

新宿武蔵野館ほか全国公開中

〈Netflix〉
『ナイアド～その決意は海を越える～』

夢を夢では絶対に終わらせない実在のスイマーの実話を映画化

約30年前にマラソンスイマーを引退したダイアナ・ナイアド。60歳になった彼女はかつて挑みながらも失敗に終わった、フロリダ海峡横断にチャレンジする覚悟を決める。実在のスイマーの自伝を映画化して、アカデミー賞でも話題を集めた作品。アネット・ベニングが夢に突き進んでいくナイアドを、夢に並走する親友でコーチのボニーをジョディ・フォスターが演じている。
日焼けした肌に生命力を宿した名女優が伝えるのは、周囲が課した限界や年齢の壁を信じない人だけが持つ、ただならぬたくましさ。
ナイアドの冒険の途中には性的虐待を受けた過去がフラッシュバックして、肉体的な過酷さやサメやクラゲの危険も描かれる。挑み続ける姿が観る者を無謀な夢へのエネルギーに巻き込み、清々しいパワーを与えてくれる。

監督：エリザベス・チャイ・ヴァサルへリィ、ジミー・チン
出演：アネット・ベニング、ジョディ・フォスター

Netflix映画『ナイアド～その決意は海を越える～』独占配信中

選・文／細谷美香

大人のおしゃれ手帖2024年5月号より抜粋
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