アートに会いに
企画展『マン・レイと女性たち』
写真、オブジェ、映画、絵画に加え、詩画集など、様々な作品を残したマン・レイ。
人生でかかわった女性たちをどのような手法で昇華させたのでしょうか。
斬新な技法で紡ぎだした大胆で優美な女性の写真。そのモデルは……?
絵画やオブジェ、映画などジャンルを超えて活躍したマン・レイ(1890〜1976)は、20世紀を代表する芸術家。
1920年代〜30年代に成熟期を迎えつつあった写真という新しいメディアの可能性を追求するなど、その幅広い活動は1920年代後半から日本でも紹介され、戦前の前衛芸術家たちに影響を与えました。
本展では、特にマン・レイが捉えた「女性たち」に光を当て、240点あまりの作品から創作の軌跡を追うものです。
その中から、見ておくべき作品として学芸員の朝木由香さんが選んだのは、写真作品《ニュッシュ・エリュアール(詩写真集『容易』より)》。
「マン・レイは写真、オブジェ、映画、絵画など多彩な才能を発揮したことで知られますが、ダダやシュルレアリスムの詩人と詩画集も手がけました。この写真の女性は、詩人ポール・エリュアールの妻ニュッシュ・エリュアールで、マン・レイがエリュアールと共作した詩画集『容易』(1935年)のモデルです。
マン・レイが撮った女性といえば、キキ・ド・モンパルナスや、リー・ミラー、ココ・シャネルなどが知られるところですが、今回は、このニュッシュの写真をポスターに選びました。
展覧会では、言葉とイメージが織りなす詩画集の世界とあわせて、モノクローム写真が醸す光と影の魅力をお伝えしたいと思います」。
トップ掲載作品:《ニュッシュ・エリュアール(詩写真集『容易』より)》 1935年 ゼラチン・シルバー・プリント(マン・レイによる後刷) 個人蔵Photo Marc Domage, Courtesy Association Internationale Man Ray, Paris/©MAN RAY 2015 TRUST/ ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 G2698
教えてくれたのは・・・
神奈川県立近代美術館学芸員
朝木由香先生
神奈川県生まれ。神奈川県立近代美術館学芸員。慶應義塾大学アート・センターを経て現職。『加納光於』展(20 13年)、『若林奮』展(2015年)、『今道子』展(2021年)などを担当。
企画展 『マン・レイと女性たち』
場所:神奈川県立近代美術館 葉山
開催 :10月22日(土)~2023年1月22日(日)
開館 :9:30~17:00(入場は16:30まで)
閉館 :月曜日(1月9日を除く)、 12月29日~2023年1月3日
046-875-2800
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/
こちらの展覧会にも注目!
『ルートヴィヒ美術館展
20世紀美術の軌跡ー市民が創った珠玉のコレクション』
ドイツのルートヴィヒ美術館が所蔵する、20世紀初頭から現代までの美術作品を、寄贈に関わったコレクターたちに焦点を当てて紹介。
館名に名を冠するルートヴィヒ夫妻が寄贈した貴重な作品群やピカソやドイツ近代美術の名品など、絵画、彫刻、写真、映像を含む代表作が一堂に会します。
10月14日(金)~2023年1月22日(日)
京都国立近代美術館 https://ludwig.exhn.jp
『ピカソとその時代 ベルリン国立 ベルクグリューン美術館展』
ドイツ生まれの美術商ハインツ・ベルクグリューン。稀代のコレクターが選び抜いた個人コレクションが収められたベルクグリューン美術館の、改修を機に実現した展覧会。ピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティなど、個性的で傑出したコレクションから精選した作品を展示。
10月8日(土)~2023年1月22日(日)
国立西洋美術館 https://picasso-and-his-time.jp
ティザーチラシ パブロ・ピカソ 《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》1936年 油彩、カンヴァス ベルリン国立ベルクグリューン美術館© Museum Berggruen – Nationalgalerie, SMB / bpk / Jens Ziehe© 2022 - Succession Pablo Picasso - BCF(JAPAN)
大人のおしゃれ手帖2022年11月号より抜粋
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