【トラネコボンボン・中西なちおさん】
旬と季節を味わう高知での暮らし
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旬を味わうことは、毎日の暮らしを豊かにしてくれる、小さな楽しみです。
料理人で人気イラストレーターでもある中西なちおさんが、新刊に込めた思いと食を楽しむためのヒントを語ってくれました。
夏の料理をおいしくする大きめの「かちわり氷」
春の山菜、初夏の梅、秋の新米……。どのページを開いても、味わってみたい旬の食材やつくってみたいレシピに出合える『トラネコボンボンの台所ごよみ 今日はニャに食べる?』。
中西なちおさんが、1年をかけて綴った、日々の台所仕事の記録から生まれた一冊です。
「疲れていて長い文章は読みたくないけど、ちょっとだけ気分転換したい。私はそんなとき、よく料理本や海外の食文化の本を読むんです。読めない言語でも、眺めているだけで『行ってみたいな』『これは何だろう?おいしそう』と前向きになれる。私にとってはすごく幸せな時間です。だからこの本も、絵と短い文で気軽に楽しめるようなものにしたかったんです」
かつては沖縄や東京で暮らし、数年前から実家のある高知へと移った中西さん。
「東京では1年中何でも手に入るけど、高知にいるとあっという間に旬が移っていく。おいしい時期のうちに食べたり、保存食を仕込んだり……と忙しいのですが、それが面白いですね」
夏になると欠かせないのが、鍋に水を張って凍らせ、アイスピックで割った「かちわり氷」。
「冷たい麺は夏の定番ですが、大きな氷できゅっと締めると、柔らかいけどコシのある、おいしい麺になるんです。サラダも氷水に通すひと手間で、シャキッと仕上がります」
8月になると、しょうがや玄米、ゆで野菜などの体を冷やさない食材を摂って、早くも秋に備えて体を整えるそう。とはいえ、最も大切なのは「食べたい」という感覚だと話します。
「すごく疲れて、口内炎ができていたとき、生まれて初めてアロエを食べたい!と思ったんです。それまではあまり好きな食材ではなかったのですが、アロエをポン酢で食べていたら2日ほどで治って。体って、自分に必要なものをちゃんと分かっているんだと実感しました」
だからこそ、つくるときは自分だけでなく、一緒に食べる相手の声を大切にしているそう。
「『今日はどんな気分ですか?』『なにが食べたいですか?』と必ず聞いて、みんなでつくって一緒に食べる。食べたものって、すぐに体に影響するんですよね。活力になったり、気持ちをほぐしてくれたりする。だから私、どんなに落ち込んだ日でも、料理のことだけはできるんです」

スは、中西さんの定番服。
生地は「CHECK&STRIPE(チェックアンドストライプ)」のものを使って仕立てたそうです。
『トラネコボンボンの台所ごよみ 今日はニャに食べる?』
中西なちお トラネコボンボン
¥2,750(文藝春秋)
高知で暮らす著者が、旬の食材とおいしい食べ方を綴った一冊。カバーや本文に登場する猫たちのイラストはすべて書き下ろしです。
「同じ料理は重複しないようにしましたが、大好きなごはんは豆ごはん、桑の葉ごはん、菜飯……と何度か登場しています(笑)」
〔執筆のお供〕
描き心地の良いペンが猫たちの豊かな表情を生む

「写真は新しいものですが、古道具店で古いペン先を探すことも。古いものは描き味がまったく違って、より細い線が描けるんです。使うインクは自分で調合しています」
〔私の好きなもの〕
各国で買い集めたお気に入りのスプーン

「スプーンが好きで、各国で買い集めています」。キッチンにはさまざまな素材やサイズのスプーンが引き出し3つ分もあるそう。
photograph: Yusuke Shirai text: Hanae Kudo
大人のおしゃれ手帖2026年9月号より抜粋
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