50代から始める趣味活 ~レコード編~
アナログレコード(以下、レコード)は、1877年に発明されて以来、長く親しまれてきた音楽機器です。
しかし、1980年代初頭にCDが登場したことでレコードの需要は減少。1986年にはCDにシェア率を超され、日常生活で見かける機会が少なくなっていきました。
そんなレコードですが、現在は根強いレコード愛好家をはじめ、レトロブームによって若い世代からの支持を獲得。ブームが到来しています!
レコード店で働きながらコラムの執筆も行う福田俊一さんに、レコードの扱い方や魅力を伺いました。
これさえ押さえておけばOK! 「レコードの基本講座」
レコードは、レコードプレイヤーさえあれば、誰でも楽しむことができます。
何十年もレコードを聴いていないという方もご安心ください!
まずはレコードの基礎知識をおさらいしましょう。
1.レコードの保管・扱い方
レコードは薄いビニール素材でできていて、折れたり傷ついたりしやすいため、丁寧に扱わなければなりません。扱い方を誤ると、音色が変化したり、聴けなくなってしまうことがあります。
保管の際は、本棚などで縦置きに収納するのがベストです。
直射日光に当てたり重ね置きしたりすると変形し、針がうまく刺さらなくなってしまうので要注意。
レコードは湿気にも弱いので、部屋の湿度管理にも気をつけるようにしましょう。
ジャケットから取り出したレコードを持つときは、ビニール素材の面(黒盤)には触れず、中央部の紙ラベルを持つようにして。そうすることで手垢や傷がつきにくくなり、レコードが長持ちします。
レコードプレイヤーに置くときは、レコードのふちを押さえて、そっと手を放すようにするのがポイントです。聴き終わったレコードは必ずジャケットにしまいましょう。
2.レコードの聴き方
①レコードをセット
プレイヤーの電源を入れる前に、レコードをターンテーブルの上に置きます。
ターンテーブルの中央にある突起部にレコードの穴を差し込んで位置を固定したら、プレイヤーの電源を入れましょう。
②速度を調整
レコードが回り始めたら、レコードのサイズに対してプレイヤーの回転速度が合っているかを確認します。アルバムは分速33回転、シングルは分速45回転です。
回転速度の設定の仕方はプレイヤーによって異なりますが、回転数の調節穴が空いている場合は、ドライバーを差して速度を調整します。
回転速度をボタンで選択できるタイプは、レコードに合った速度に設定できているかを確認しましょう。
③針を落とす
レコードが回転し始めたら、レコードの溝に針を落とします。
曲の頭から聴く場合は、いちばん外側の溝に針を落とすようにしましょう。
あえて今聴くことに意味がある「レコードの魅力」とは?
レコードの勢いが増す今こそ始めどき。
思わず手に触れて聴いてみたくなるレコードの魅力をご紹介します!
1.表現力豊かな音色をたしなむ
レコードは、CDには収録されない周波数を記録しているだけでなく、デジタル処理で消されてしまうノイズも残っています。
音域が広く、楽器とヴォーカルの音がより際立って聴こえるため、CDやスマホで聴く音楽とレコードで聴く音楽では、同じアーティストのものでも違う音色に。
目の前で生演奏が行われているかのような臨場感が味わえるのは、レコードならではの魅力です!
2.とにかく手間をかける
レコードは、CDやスマホで聴く音楽のように、エンドレスで聴けるわけではありません。
もう一度再生するために針をセットしなおしたり、B面を再生するためにレコードをひっくり返したりするなど、何かと手間がかかります。
しかし、手間をかけている分、一曲一曲と向き合う時間がよりいっそう豊かなものになるのです。部屋中に響きわたる音楽を全身で感じる贅沢な時間に、ひたってみましょう。
3.音楽を所有する
ものによっては500~1000円で手に入るレコード。安価で購入しやすいため、レコード収集にハマる人も。
しかし、音楽を所有することで得られる喜びは、コレクションの量とは関係ありません。
スマホがあれば低価格で大量の曲を聴ける時代だからこそ、お気に入りの一枚を選ぶことにおもしろみがあるのです。
物を極力増やしたくないという方は、好きな曲だけを所有し、心ゆくまで堪能してみてください。
実際にレコード店を訪れると、昔よく聞いていた歌手のレコードが見つかることも。
宝探しのような感覚で足を運んでみると、思いがけない懐かしい出合いがあるかもしれません。
『大人のおしゃれ手帖』読者にイチオシの3アルバム
レコードの基本的な使い方と魅力を教えてくれた福田俊一さんに、おすすめのアルバムを聞いてみました。
3枚とも違うジャンルなので、レコード選びの参考にしてみてください。
杏里『Timely!!』(1983年発売)
「CAT'S EYE」、「悲しみがとまらない I CAN'T STOP THE LONELINESS」など、最近人気が高まってきているシティポップ。
発売から40年経った今、価値が上がっているレコードのひとつです。
マイケル・ジャクソン『オフ・ザ・ウォール』(1979年発売)
名曲ぞろいのなかで、特におすすめなのが「ロック・ウィズ・ユー」。
テンションが上がるリズムで、思わず踊りだしたくなる一曲です。
ケニー・バレル『ア・ジェネレーション・アゴー・トゥデイ』(1967年発売)
ジャズ・ギター奏者ケニー・バレルの人気アルバム。
洗練されたギターの音色が美しい曲がラインナップしています。ジャズを聴いてみたいという方におすすめ!
レコードを聴きに街へ出かけよう
自宅にレコードプレイヤーがなくても大丈夫!
レコードを聴けるお店でコーヒーを飲んだり食事を楽しんだりしながら、流れる曲に耳を傾けてみましょう。
スワンプ
今年8月にオープンしたばかりの「スワンプ」は、5種類あるスペシャルティコーヒーを飲みながら、レコードの音色を楽しむことができるカフェ。
レコードプレイヤーやスピーカーは、60年代のビンテージ機材。紡ぎ出される音とコーヒーの味わいを楽しんで。
営業時間:7:00~19:00 不定休(インスタグラム・ツイッターでアナウンス)
住所:東京都新宿区西新宿7-21-12 れんげ荘
インスタグラム・ツイッター:swamp_shinjuku
レコード喫茶Graffiti
1曲200円でリクエストができるレトロな喫茶店。約6000枚のレコードの中には、西城秀樹や松任谷由実などの曲はもちろん、藤井風やあいみょんといった最近の歌手のものまで幅広い世代とジャンルを取り揃えています。
ドイツ製のアバンギャルドスピーカーで、大迫力の演奏が楽しめます。
営業時間:金・土・日・祝の12:00~18:00
住所:大阪府大阪市中央区難波3丁目7−4 和讃ビル3F
https://www.r-graffiti.com/
コモエス今泉
絶品カレーが味わえるカフェ「コモエス今泉」。築50年程の古民家を改修した優しい陽が差し込む店内には、店主・西田陽介さんが世界中を旅して集めたレコードが2万枚以上あります。
DJブースやエレクトロボイスのスピーカーに包まれるように配置されたテーブル席で、音楽に酔いしれるひとときを。
営業時間:11:00~24:00 ※しばらくの間、夜の営業はお休みします
住所:福岡県福岡市中央区今泉2丁目1−75https://comoesima.wixsite.com/roomcamp
レコードプレイヤーがある生活を
さっそく自宅でレコードを聴きたくなってきたという方、必見!
初心者でも使いやすいプレイヤーをご紹介します。
plywood「ブラッド レトロ レコードプレイヤー」
本体のアダプターを電源に接続するだけでレコードが聴けるプレイヤーです。
Bluetooth対応で、スマートフォンなどからの音楽を再生することもできます。
ボタンや色みがレトロなデザインで、インテリアとしても◎。
お部屋のアクセントになります。
¥26,400(税込)
https://www.plywood.jp/06339004
House Of Marley「STIR IT UP TURNTABLE」
竹の木目が美しいスタイリッシュなレコードプレイヤー。
どんな部屋にもなじむシンプルなデザインです。
竹やアルミニウム合金でできているため、プラスチックや合成素材のレコードプレイヤーよりも長期間使うことができます。
¥34,980 (税込)
https://shop.kanjitsu.com/product/stir-it-up-wireless/
臨場感たっぷりの音楽を奏でるレコードは、その迫力もさることながら、歴史を感じる奥深い一面も。
新たな趣味の世界へ、一歩足を踏み出してみませんか?
お話を伺ったのは
福田俊一さん
FTF株式会社 IT事業部/販売部兼務
買取部門エコストアレコードのコラムやnoteのほか、販売部門FACE RECORDSのセール特集コラムなどを執筆。レコードの素晴らしさをユーザーへ伝えている。
https://facetofacecoltd.com/
構成・文/大人のおしゃれ手帖編集部
画像素材/PIXTA
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