50代の健康支える「発酵」のチカラを知る!
健康を維持するために大切な「腸内環境」や「免疫力」などを語るとき、欠かせないのが「発酵」の力。
日本人になじみ深い「発酵」の秘密を、あらためて徹底調査!
日本の調味料研究の第一人者である、前橋健二先生に、発酵の仕組みや魅力について聞きました。
生活の知恵として育まれてきた発酵食品
味噌や醤油、みりん、日本酒、チーズ、ワイン、ヨーグルトなど、毎日のように口にしている発酵食品。
「発酵の歴史を振り返ると、牛乳を保存していたらたまたまヨーグルトになったなど、発酵食品は偶然の自然現象から生まれたものです。食品が変化する仕組みが解明されないまま、日本人だけでなく、世界の人が発酵は“体にいい”ものとして食生活に取り入れてきました」と前橋健二先生。
何千年も前から存在していた発酵食品。
日本では神話の中にお酒が登場するが、西洋で発酵の概念が起こったのは江戸から明治時代にかけての頃だそう。
「日本の発酵食品の多くは、麹からできていて、高い技術力により複雑な工程を経て豊かな味わいの発酵食品が生まれています。醤油や味噌、みりんなどの発酵調味料があれば、過度な味付けを必要とせず、食材の味を活かしたシンプルな調味で健康的な食事が楽しめるのも和食ならでは。近年は研究が進み、発酵食品の健康や美容に対するさまざまな効果がわかってきていますので、健康に関心が高まる今、ますます脚光を浴びている分野と言えるでしょう」
酵に関する素朴なギモンQ&A
Q1. ずばり発酵とは?
A. 微生物の働きで食物が変化して人に有益なものができる
発酵は小さな微生物の働きにより、物を分解させたり、変化させたりすること。
微生物には、乳酸菌や麹菌、酵母菌、酢酸菌、納豆菌などがあり、人間にとって有効な働きをするものが発酵、有害に働くものを腐敗と呼びます。
例えば、醤油は大豆の主成分であるたんぱく質が麹菌の酵素により分解され、醤油の旨味成分であるアミノ酸を生みだしています。
Q2. 発酵が体にいいと言われるのはなぜ?
A. 発酵は生活の中から生まれた知恵の結晶
味噌は江戸時代から健康食として知られ、酢は古くから薬のように扱われていたり、古代より、発酵の力を生活に取り入れてきました。
暮らしを通して人々が発酵食品の栄養価の高さを体感し、文化が受け継がれてきたものなのです。
近年、健康や美肌にはたらく仕組みが次々に解明されてきており、ますます発酵に注目が集まっています。
Q3. 発酵食品は食べすぎるとよくない?
A. 数種類の発酵食品を継続的に摂ること
発酵食品を多く摂取しても体に害を及ぼすことはありません。
ただし、1種類の食品だけを過剰に摂ると、その食材に含まれている塩分や糖分などの過多を招き、栄養の偏りにつながる可能性が考えられます。
酸っぱいものや甘いものなど、さまざまな発酵食品を毎日、少量ずつ継続的に摂るように意識しましょう。
Q4. 最近増えている発酵スキンケアは効果がある?
A. 美肌につながる効果が期待されています
米と米麹から造られる日本酒は栄養成分が豊富で、古くから“肌にいい”ものと認識されていました。
調べてみると肌の水分を逃しにくくする効果など美肌につながることがわかり、発酵を活かした化粧品が注目されるように。
最近は玄米や大豆、豆乳など、さまざまな発酵原料を使った化粧品が登場しています。
Q5. 発酵食品で防げる病気はあるの?
A. 免疫力アップや腸内環境の改善に効果的です
発酵食品は免疫細胞を活性化させ、病原体と戦うための免疫力がアップすると言われています。
さらに乳酸菌が含まれる食品には、腸内の悪玉菌の増加を抑える効果があり、腸内環境が改善されることで、アレルギー症状の改善も。
毎日味噌汁を飲んでいると、がん発症のリスクが抑えられると言われています。
Q6. 効果的な食べ方はある?
A. 発酵の力を活かした調味料を活用して毎食バランスよく
健康的な体を維持するには、3食の中でバランスよくいろいろな発酵食品を摂ることが大切です。
食材そのもので取り入れるのが難しい場合は、味噌や醤油、みりんなど身近な発酵調味料を活用して。
食材に加えるだけで、味に深みが出て、無理なく毎日摂ることができます。
Q7. 発酵食品を食べているとやせる?
A. 食べることで食生活が改善され太りにくい体に
発酵食品の摂取によりコレステロールが正常値に近づき、中性脂肪値の上昇を抑えたり、内臓脂肪を低下させたりする効果が期待できると言われています。
ただし、カロリー過多のものを多く摂ったり、普段の食生活が乱れていると効果は半減。
規則正しい食生活の中で、発酵食品を食べる習慣をつけましょう。
市販の発酵食品も進化しています!
手間をかけずに、気軽においしく食べられる発酵食品が続々登場。
おやつ代わりにしたり、食材にプラスするだけで味わい深くなるものまで、進化した注目の発酵食品をご紹介。
米麹だけで甘みをつけた体に優しいグラノーラ
砂糖不使用、グルテンフリーにこだわったグラノーラ。
チョコや抹茶などのフレーバーも。
オリゼ 米麹グラノーラ プレーン 200g ¥1,080/アグクル
魚や肉、野菜にかけるだけ!
ザクザク食感がやみつき
乾燥させてくだいた赤味噌にオリーブ油、アンチョビなどを合わせてうま味たっぷりのソースに。
809MISO バーニャカウダ風ソース 100g ¥788/ヤマク食品
レモン果汁を発酵させてビタミンCとクエン酸を摂取
まろやかな酸味とすっきり感が◎。
レモン果汁を発酵させて作った甘くないレモンの酢 無糖
350mL ¥475/ポッカサッポロフード&ビバレッジ
糀と有機カカオで作ったチョコレートスプレッド
濃厚な味わいで、ぬったり、かけたりアレンジ自在。白砂糖不使用、アレルゲンフリー。
YAMATO 玄米甘糀 ショコラスタンドパック 200g ¥745/ヤマト醬油味噌
教えてくれたのは・・・
東京農業大学
応用生物科学部醸造科学科 教授
前橋健二先生
発酵における微生物と成分変化、発酵調味料、味の解析や味覚のしくみなど、「発酵」と「味」について、多方面から科学的アプローチを続けている。
「世界一受けたい授業」(日本テレビ系) などメディアにも多数出演。
イラスト/荒井照未 文/佐久間千絵
大人のおしゃれ手帖2022年11月号より抜粋
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この記事を書いた人
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