お茶の新しい魅力に出合う
大人の早春、駿河の旅【前編】
うららかな陽気に誘われて、そろそろ旅に出かけたい。
そんな方におすすめしたい旅先が、首都圏からのアクセスも便利な静岡県の中部地域、駿河。
お茶と絶景に心満たされる、早春の旅に出かけてみませんか。
大人の知的好奇心を満たすお茶どころ・駿河
日本一高い富士山と、日本一深い駿河湾をのぞむ自然豊かな地、駿河(静岡県中部地域)。
肥沃な大地に恵まれた一帯は、日本有数のお茶どころとしても知られます。
一時は元気がなかった日本茶を、新たなブームへと押し上げたのは、ほかならぬ地元の生産者たち。
独自の信念や個性を反映した自園自製のお茶作りに取り組む茶農家が増えており、同じ農園で作る単一品種の茶葉=「シングルオリジン」が注目を集めています。
「シングルオリジン」のおもしろさは、茶葉の栽培から製造までの過程において、味や香りに個性を持たせることができるということ。
訪れた茶農家のお茶作りはいずれも個性的で、深い奥行きを持つ豊かな味わいは、従来のお茶の概念を覆すものでした。
新しい試みとして注目したいのは、お茶と料理のマリアージュを楽しむティーペアリング。
日本茶インストラクターの資格を持つ「ルモンドふじがや」のシェフ・白鳥智香子さんは、「品種、製法、醸造法など、お茶とワインには共通点が多い」と語ります。
ワイナリーを巡るように農園を巡り、生産者と会話を楽しむ。
味覚を研ぎ澄まし、お茶を味わう。
従来の観光から一歩踏み込んだ体験型の旅が、大人の知的好奇心を刺激します。
個性豊かな茶農家を巡る
駿河では、茶農家を訪ねてお茶を試飲する文化があります。
個性豊かな茶農家を巡るのも、駿河ならではの旅の楽しみ。
絶景カフェでひと息ついたり、ワークショップで茶染めを体験したりと、過ごし方もさまざま。
アクセスが難しい山間部の茶農家へは、お茶カラーにラッピングされた「お茶タクシー」の利用がおすすめです。
「益井園」
寒暖差の激しい川根の山間で農薬不使用の健康茶を発信
ストレスや成人病対策、良質な睡眠に効果が期待できるギャバ紅茶。
セネガル共和国で青年海外協力隊を経験するなど、
ユニークなキャリアと探究心を反映した独自のお茶栽培が
各界から注目を集める益井悦郎さん。
独自に開発した発酵ギャバ茶や、種類豊富な和紅茶、煎茶など、
農薬不使用で栽培するこだわりのお茶にファンも多い。
☎︎ 0547-59-2407
静岡県榛原郡川根本町青部521
https://masuisanchi.wordpress.com
「つちや農園」
大自然に抱かれる絶景テラスで心洗われる、至福のティータイムを
ススキや山草を刈って茶園に敷くことで、茶樹を保温、保湿し、質の高いお茶を育む「茶草場農法」を継承。自然と共生する伝統農法としてSDGsの観点からも評価を集め、「静岡の茶草場農法」として2013年に世界農業遺産に認定された。
ティーテラスでは、つちや農園の季節のお茶とお茶菓子を味わえる。
世界農業遺産に認定された「静岡の茶草場農法」を受け継ぐ茶園。
テラスでのお茶体験は1人¥3,000。事前に問い合わせを。
☎︎ 0547-56-0752
静岡県榛原郡川根本町水川972
http://www.tsuchiya-nouen.com
「清照由苑」
山あいの茶室で抹茶と手作り菓子を提供
茶染めのワークショップも
ワークショップの合間には、茶葉をそのまま味わう「生茶」のサービスも。
長年の会社勤めを辞めて代々受け継がれてきた茶畑を引き継いだという鈴木照美さん。
ワークショップで作れる茶染めのハンカチ。
柔らかなオレンジ色は、お茶そのものの色なのだそう。
お茶染めワークショップと抹茶白拍子を味わう体験コースは
約90分¥3,850〜(染める商品に応じて金額は異なります)。
※要予約
☎︎ 090-3481-1828
静岡県静岡市清水区中河内4209
https://seisyouyuenn.jimdofree.com
撮影/玉井俊行 取材・文/吾妻枝里子
取材協力/するが企画観光局 https://www.visit-suruga.com
※大人のおしゃれ手帖2023年4月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
この記事のキーワード