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大人のおしゃれ手帖 1月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2025年1月号

2024年12月6日(金)発売
特別価格:1420円(税込)
表紙の人:原田知世さん

2025年1月号

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【大人旅】吉田 羊さんと青森・弘前、津軽へ!
~和洋の文化を全身で体感~

吉田 羊さんと巡る 青森・弘前、津軽【前編】

青森県の西に位置し、自然環境にも恵まれ、さまざまな伝統工芸が発達した青森・弘前。
明治期には西洋の文化を積極的に取り入れたことから、洋風の建築や文化が根づいてきた街でもあります。
その歴史が今に生きる場所を吉田羊さんとともに訪ねました。

西洋の息吹を感じる文化都市

れんが造りの教会やモダンレトロな建物が並ぶ街並み。
一方で、城下町らしい武家屋敷や東北ならではの伝統工芸が今も息づく、青森・弘前、津軽。
現代アートに触れる地域としても、今、注目のエリアです。
アンティークの着物やインテリアを、日々の暮らしに取り入れている吉田羊さんにとっても、きっと心惹かれる場所はなず!と、今回の旅をご提案したところ、
「青森・弘前は実は初めて訪れる街。年を重ねるにつれ、日本人として文化を継承していくことを大切にしたいと思っていましたし、和と洋がミックスされたモダンな雰囲気が好きなので楽しみです」と羊さん。
まずは、西洋の影響を受けた時代の風情が残るスポットを訪ねました。

弘前れんが倉庫美術館

奈良美智《A to Z Memorial Dog》とともに。

この空間でしか味わえないアート体験を

2020 年に美術館として生まれ変わった、明治・大正期に酒造工場として建てられた煉瓦倉庫。
建築家の田根剛氏が「記憶の継承」をテーマに設計したという通り、柱や天井、壁などに当時の名残を感じることができる。
館内では年に2回のペースで現代美術をメインに、青森、弘前の地域に根ざした作品などを展示。
100年の時間の重なりとともに、今を感じることができる。

羊さん着用:コート¥69,300、ロングベスト¥55,000 /ともにヤエカ ライト(ヤエカ)、パンツ¥22,000 /ヤエカ(ヤエカ アパートメント ストア)、シャツ¥25,300 /ティッカ、スカーフ¥14,300/マニプリ、ピアス¥12,100/メラキ(フラッパーズ)、リング¥29,700 /プラウ、靴/スタイリスト私物

2階のライブラリーでは美術関連の本や図録をゆっくり閲覧できる。

シードル工房の醸造タンクを眺めながら食事ができるカフェ。

地元の素材にこだわった日替わりワンプレート¥1,500。
ミュージアムショップも併設。

青森県弘前市吉野町2-1
tel: 0172-32-8950
open: 9:00 〜17:00
火曜(祝日の場合は翌日)休
https://www.hirosaki-moca.jp/

PIZZERIA MiA(ピッツェリア ミーア)

自家製のプロシュートとカマンベールのピッツア。桜のはちみつの甘さも美味。¥2,300。

新鮮な食材だからこそのピュアな味わい

東京、フランス、イタリアの一流店で働き、この土地に惹かれてピッツェリアをオープンしたというシェフの毛利さん。
生産者に近いことで、新鮮な野菜を使った料理が楽しめるのはもちろん、チーズやハムも自家製。
この店でしか食べられないピザをぜひ!

カウンター席とテーブル席、個室もある店内。

オリジナルの野菜のピクルスも人気。

青森県弘前市代官町3-1 弘学館ビル1F
tel:0172-88-5428
open:8:00 〜21:00 月曜
(祝日の場合は翌日火曜)休
https://pizzeria-mia-hirosaki.com/

greenfurniture(グリーンファニチャー)

吉田 羊さんと巡る 青森・弘前、津軽【前編】

「必要としなくなった物を必要としている誰かのもとへ」

古い家屋、施設などから家具や雑貨を引き取り、リペアやリメイクを施して現代に蘇らせる活動をしている古道具店。
弘前は空襲を免れたことから、戦前から使われてきた物が、多く形を残しているのだとか。
西洋の影響を受け、上質な素材で作られた家具たち。
モダンな修理を施す、店主のセンスにも注目したい。

羊さん着用:カーディガン¥30,800 /エンリカ、シャツ¥33,000 /ヤエカ(ヤエカ アパートメント ストア)、サロペットパンツ¥31,900 /ティッカ、シルバーリング¥30,800、ピアス¥35,200 /ともにプラウ、ブーツ/スタイリスト私物

現代の解釈で棚板や扉をつけるなど、新しい価値が加えられた家具たちがずらり。

アンノウンの絵画やアートも必見。

青森県弘前市代官町19-1
tel: 0172-33-9288
open: 11:00 〜17:00(臨時)
火水木曜休(臨時)


受け継ぎ、広がる地域の文化

この地域では厳しく寒い冬が長く続くからこそ、手仕事の文化が生まれました。
ひと針ひと針を麻布に刺しながら模様を編み出した「こぎん刺し」、漆でさまざまな凹凸を付け、研ぎ出すことで模様を出す「津軽塗」。
どちらも気の遠くなるような時間をかけて生み出す伝統工芸です。
生まれた背景にあるのは、津軽地方の人々の根気強さ。
そして、困難な中でも美を追求する精神性にあるといえます。
その気質は今の人にも受け継がれ、暮らしを豊かに美しく彩る工芸や食材を扱う、新しい店がたくさん。
温故知新に触れる場所へ足をのばしました。

弘前こぎん研究所

着物帯にひと針ひと針びっしりと刺された模様に感動。

青森・津軽が生んだ美しい模様を未来へ

江戸時代、津軽地方で防寒のために生まれたこぎん刺し。
木綿の衣類着用を許されなか
った農婦たちが、麻の布目を埋めるように白い綿糸をひと針ずつ刺す中で独特の美しい模様を編み出した。
研究所では古い着物を収集、
パターンの整理・復元をすることで、継承、発展のために活動を続けている。
模様に込め
られた時間と美しさへの追求は、見ているだけで力をもらえる。

100年以上前の刺し子入りの野良着など、貴重な資料を見ることもできる。

研究所が入る建物は、建築家・前川國男の処女作としても有名。
吹き抜けの赤い天井、直線と曲線の表現などこだわりが随所に。

こぎん刺し体験ができるワークショップでコースターを製作。

青森県弘前市在府町61
tel: 0172-32-0595
open: 9:00 〜16:30
土・日・祝休 https://tsugaru-kogin.jp/

bambooforest

体に、環境に「おいしい」ものを地域に紹介したい

震災を機に、東京から地元・弘前へ。店主・竹森さんによる小さなよろず屋。
自身が実際に見て味わって、「体にやさしい」「環境にやさしい」を前提に「おいしい」と思えたものだけを全国から集めている。
地元の工芸作家や生産者ともつながり、地域の魅力も創出。
店主の愛着と新しい出会いに触れたくて、地域の人が今日も集う。

地元の作家のものはもちろん、店主が選んだ全国各地の工芸や食品、アパレル、日用品から本、CDまで、所狭しと並ぶ。

津軽を代表するキャンドル作家、YOAKEnoAKARIによるボタニカルキャンドル。

青森県弘前市代官町20-1
tel: 0172-35-4520
open: 11:00 〜18:00
火・水曜休
https://www.bambooforest.jp/

THE STABLES

作家、地域にこだわらず、同じ目線で店主がセレクトした工芸やアート、服飾のアイテムまで並ぶ。

五感が喜ぶものを伝え続けたい

見て、使って、日常が気持ちよくなるようなもの。
そんなもの選びを大切にしたセレクトショップ。
季節のコントラストがある地域だからこそ、例えば冬なら白をテーマにアイテムを選ぶなど、情景に合わせた提案も。
月に一度のペースで、普段扱っている作家さんや、新たに出会った作り手の企画展も行ない、県内外から訪れる人々の心を潤わせている。

弘前の職人が作るあけびかご。
丸みのあるデザインなど、装いを楽しくするリクエストもしながら作ってもらっているそう。

馬と厩舎のロゴが目印。

岐阜県・飛騨で制作を行う、沖澤康平さんのワイングラス。

青森県弘前市代官町14-2
tel: 0172-33-9225
open: 11:00 〜18:00
火・水曜休


津軽塗も体験!

江戸時代に青森県・津軽地方で始まり、300年以上の歴史を持つ津軽塗。
独特な手法によって漆で模様付けをし、塗り重ね、「研ぎ出し」と言われる工程で、炭や砥石またはヤスリで研磨することにより模様を出すのが特徴。
ほかの産地の漆塗りに比べ、多くの時間と手間をかける。
今回、「漆雫」として活動する職人の北畠さんに漆塗りを教えていただき、帯留めとフォークの研ぎ出しに挑戦しました。

漆雫〜うるしずく〜

津軽塗、漆塗りの製作、販売をしている。
ワークショップなども積極的に開催。
Instagram:@urushizuku

魚の卵(ななこ)を思わせる小さな輪紋が特徴の「ななこ塗」の帯留め。

羊さんは四角い形の帯留めに挑戦。

研ぎ出した後、仕上げのリクエストを。

このあとは北畠さんの手によって、艶出しの仕上げ、裏面の加工をし、約1か月後に完成。
到着を楽しみに。


撮影/天日恵美子 スタイリング/平井律子 ヘアメイク/井手真紗子
編集・文/竹田理紀[mineO-sha]

※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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