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大人のおしゃれ手帖 5月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2024年5月号

2024年4月6日(土)発売
特別価格:1360円(税込)
表紙の人:南果歩さん

2024年5月号

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変わる私に寄り添う住まい
〜料理研究家・藤井 恵さんの場合〜

子どもが巣立ったり、体力が変化したりと、年齢とともに生活スタイルも変わります。
新しい暮らし方に住まいをフィットさせていくことで、これからの生活はより心地よいものに。

3年前から長野県原村にセカンドハウスを持ち、休みのたびに足を運ぶようになった料理研究家の藤井恵さん。
二拠点生活の楽しみ、始めてからの心身の変化について伺いました。

今回伺ったのは・・・
料理研究家
藤井 恵さん

女子栄養大学在学中から料理番組のアシスタントを務め、専業主婦を経て料理研究家に。テレビ、雑誌、書籍などで活躍するかたわら、YouTube「藤井食堂」でも簡単でおいしいレシピを発信中。近著に『藤井恵さんの更年期ごはん 心と体がラクになる食べ方の工夫』(世界文化社)などがある。

二拠点で暮らす

たまたま見つけた別荘が好みに合っていたことから、キッチンだけをリフォームしてそのまま住むことに。
南向きの窓からは夕方までたっぷり日が差し込み、心地よく過ごせるそう。

春夏秋冬、どの季節に訪れても美しいんです

長年続けた料理番組からの卒業、娘たちの独立……。
いくつかの転機が重なったタイミングで長野と東京の二拠点生活を始めた料理研究家の藤井恵さん。
長野県原村にあるセカンドハウスは約2年かけて見つけたもの。

「東京との2拠点生活をしている知人から『長野に来てから、たった一杯のお水もこの上なくおいしく感じる』と聞いて。その方を訪ねた帰り道に原村を通ったら、空気ががらりと変わるのを感じたんです。紅葉の時期だったこともあって、絵本のような世界が広がっていて。もっとこの場所を知りたくて、春夏秋冬と通ってから、ここに家を持とうと決めました」

休みのたびに足を運び、庭の手入れをしたり、近所を散策したり、地元の食材を使った料理を楽しんだり。
「冬は冷たい空気が心地いいし、春は庭で野草の芽を見つけて、どの植物だろう? と調べるのも楽しい。東京ではいつも眉間にしわを寄せていた気がするけど、今は笑顔で『ああ、きれい』と口にすることが増えました」

炎に癒やされる薪ストーブ。
「立ち上がりに時間はかかるけど、いったん暖かくなるとずっと心地よさが続きます」

冬には欠かせない薪も地元で入手。
「しっかり乾かさないとよく燃えないので、外で2年ほど保管しておきます」

雪についた動物の足跡を眺めて思いを巡らせるのも冬の楽しみ。
「鹿がすぐ近くを通っていくことも」

季節ごとに変わる景色を眺めながら川辺を散歩したり、近所のカフェでクラフトビールを飲んだり。
「東京ではなかなか味わえない、ゆったりとした時間を楽しんでいます」

木の素材をふんだんに使ったダイニング。
照明や障子が気に入り、入居当時のものをそのまま使用。
「障子が断熱材の役割を果たしているようで、閉めるだけで暖かさが続きます」

手間と時間をかける保存食「ここでなら!」とトライ

キッチン横のウッドデッキに増築した食料庫には、長野にゆかりのある作家の器や調理器具、近隣の農園で入手した新鮮な野菜が並びます。
「旬のいっときしか入手できない、珍しい食材を見つけて調理する楽しみも」

自家製の味噌は、豆も水も原村のもの。
「東京ではできないことにこだわってみたかったんです。仕込んだのは昨年ですが、長野は寒いので発酵が緩やかなんですよね」

食料庫にずらりと並んだ梅干しや果実酒。
手間暇がかかる保存食づくりを楽しめるのも、時間がゆっくり流れる長野だからこそ。
「できあがるまでを待つ時間も喜びに。いずれは野沢菜漬けにもチャレンジしたいと思っています」

器やかごも長野のものにこだわって

「せっかくもう一つのキッチンを持つなら、何かこだわりを作りたい」と考え、できるだけ地元にゆかりのあるものを使うことに。
「器は地元のクラフト市などで買い揃えたもの。ざるやかごも大好きで、いくつも集めています」

野菜や果物を盛るざるやかごは、長野・戸隠の根曲がり竹でひとつひとつ編まれたもの。
「戸隠のざるは、うずを巻いたような文様と丈夫さが特徴。古くから続いた地元の伝統工芸を守っている人々を応援したい」

”がんばらない”が最近のテーマに

何でも手に入る東京での暮らしに慣れていたからこそ、長野では「地元のものを大切にする暮らしをしたかった」と藤井さん。

憧れだったという木のキッチンには、地元の作家による器や調理器具が収められています。
「直売所や市場に並ぶ食材を見て、どうやって食べよう? と考えるだけでワクワクするんです。それを自分で調理して、地元にゆかりのある器に盛って……。本当に贅沢だなあ、と来るたびに喜びをかみしめています」

長野で作るのは、「焼くだけ」「煮るだけ」といったシンプルなレシピばかり。

「今は料理も〝がんばらない〟がテーマ。もともとがせっかちで、早く早く! と急ぐ癖がついていたけど、今は『少しは緩やかにやってもいいのかな』と思えるようになりました」

手入れに手間のかかる木を選べるようになったのも、心にゆとりが生まれたからこそ。
遊びに来た友人がカウンターに座り、藤井さんが反対側で料理を作りながら飲むことも。

白菜と豆、にんじん、ベーコンを煮込んだスープと、豚肉のソテー。

食材はもちろん、地元で採れたものばかり。
「野菜そのものに甘みや旨みがあるので、塩を足さなくても、ベーコンの塩気だけで十分においしいんです」。

豚肉のソテーに振ったのは、原村産のハーブで作られた「KAQUEL」のハーブソルト。
「今まではあまり市販のハーブソルトは使わなかったけれど、原村のものはおいしくて。味付けも簡単だし、愛用するようになりました」

眺めのいい窓辺がレシピを考えるときの指定席。
「長野に来るようになってから、どんどんレシピがシンプルに。『いかに素材の味を引き出すか?』というのが最近のテーマです」

50代は、夢を叶える絶好のタイミング

庭の草刈りをしたり、キツツキにつつかれた壁を補修したり……。
長野の暮らしでは、自分たちでできることはなるべく自分たちの手で行うのもルール。

「別荘暮らしは素敵だけど、そうした手間も楽しめるのは、まだ気力も体力もあるから。もっと年齢を重ねてからでは、大変な面もあるかもしれません。今のうちに二拠点生活に踏み切れば、長くその生活を楽しめるだろうという考えもありました」

だからこそ、「やりたかった夢があるなら、50代のうちに実行に移した方がいい」と藤井さん。

「子育てや仕事に忙しい30代、40代ではできなかったことも、今なら実現できる。思い切って一歩前に踏み出すことで、人生が楽しくなるし、また別の可能性が広がっていくんです」


撮影/白井裕介 文/工藤花衣

大人のおしゃれ手帖2023年3月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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