【おすすめ展覧会】1300年もの昔に思いを馳せて
「正倉院宝物を受け継ぐ ― 明治天皇に始まる宝物模造の歴史 —」
宝物を守り伝えようとする人々の情熱に触れる
東京、原宿。明治神宮は都会のど真ん中にありながら、一歩足を踏み入れると、そこはすがすがしさが感じられるスピリチュアルなスポット。敷地内にミュージアムがあるのをご存じですか。開催中の「正倉院宝物を受け継ぐ」は、お参りがてらに立ち寄りたい大人におすすめの展覧会です。
正倉院宝物は、聖武天皇が生前愛用した品々を光明皇后が東大寺の大仏にささげたことから始まります。長い時代を経て損傷が激しくなった宝物も少なくなく、明治天皇が修理を命じたのを機に修理や模造製作がスタートしたといわれ、現代に至っています。
今回の展示は宝物の模造品です。
しかし、単に宝物に似せてつくられた模造品の展示というものではありません。
模造品製作のコンセプトを知ると、より深みのある見方ができます。
「ひとつひとつ、宝物を科学的に調べて、どうしたら維持できるかを考え、その内容を理解したうえで同じものをつくる」。
つまり「宝物の本来の材質や構造、技法を知り復元しながら、宝物をもうひとつつくる」という観点で製作されているというのです。
展示では模造に使った素材や過程なども紹介され、完成に至るまでさまざまな試行錯誤を繰り返したのではということがうかがえます。例えば0.03㎜の素材を敷き詰めてモザイク模様を作ったり(「模造 紫檀木画箱(したんもくがのはこ)」)、古代と同じ工具を考えて製作したものも。なかでも「模造 螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」は、8年がかりの大プロジェクト。宝物を守り伝えようとする人々の情熱や、使命感さえも伝わってきます。
模造品の造形美を通して、伝統と文化を守り抜くことの大切さを知る展覧会でもあるのです。
もっとも難しく考えず、模造の造形美に触れるだけでも癒やされます。
華やかな琵琶や螺鈿箱をはじめ、貴族の装飾品や文房具まで
1300年もの昔の時代に思いをはせて、ロマンを感じることでしょう。
*次からは、見どころをピックアップ!
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